臨床心理士の皆藤章さんは、長年生きる
苦しみを抱えた人たちの声に静かに
耳を傾けてこられました。
時に死の危機に直面するほどの
苦しみを抱えた人たちもいます。
皆藤さんはそういう人たちに、どのよう
にして生きる希望や勇気を与えて
こられてのでしょうか。
────────[今日の注目の人]───
★ 出会いを生かし、ともに関を越える ★
臨床心理士・皆藤 章
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「先生、私に生きていける
言葉をください」
遠い南米のある地から手紙が届きました。
途方もない人生の傷みを抱えながら面談
に通ってこられていた方からでした。
制止を振り切り、ある日その方は死出の
旅とも言える決断をしたのです。
自尊心を剥奪される過酷な生活が綴ら
れた手紙の、最後にこの言葉が
記されていました。
ゆっくり返事を考えている場合ではない。
しかし、その方の心に届く
言葉が不可欠だ。
夜通し考えました。
夜が明けた時、私に語れる言葉は
これだけでした。……
※およそ半年後、その方は
無事に帰国されました。
そして、「先生の言葉を毎日、念仏の
ように唱えて生きていました」
とおっしゃっていたといいます。
皆藤さんの一言が絶望の淵にあった
一人の人生を救ったのです。
皆藤さんのひと言とはどのような
ものだったのでしょう。
『致知』2016年6月号
特集「関を越える」P54
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!