「腹中書あり――身心を養い、
経綸に役立つ学問をする」
と、安岡正篤師は言われました。
人を導いていく立場にある人にとって、
自らを修め、心を深く耕すための読書は
不可欠であると言えるかもしれません。
安岡正篤師の名講義の一部をご紹介します。
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17条にこめられたリーダーの心得
―『佐藤一斎「重職心得箇条」を読む』―
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これ(『重職心得箇条(全17条)』)を
読んでみますと実に淡々として少しも
こだわらずに極めて平明に重職の心得べき
憲法を叙述しています。
聖徳太子の十七条憲法なども非常に優れた
ものですが、この心得箇条も非常にくだけた
文章でしかも高い見識のもとに、
国政にあずかる重要な職務にあたるものは
かくしなければならないということを、
実に要領よく把握している名作だと思います。
☆
「深沈厚重(しんちんこうじゅう)」
「磊落豪雄(らいらくごうゆう)」
「聡明弁才(そうめいべんさい)」
の3つが人物というものを観察、表現、
解釈する古来、専門家に知られている
1つの立派な基準です。
いわれてみると成程と思います。
普通なら頭がいい、才がある、
弁が立つ、なんていうことは
誰にでもわかる大変いいこと、
優れたことでありますが、
人間学という鑑識、評価からいうと
それは第三等なのであります。
☆
知識というものはごく初歩というか
一番手近なもので、知識がいくらあっても
見識というものにはなりません。
見識というのは判断力です。
見識が立たないとどうも物事はきまらない。
見識の次に実行という段になると、
肝っ玉というものが必要になる。
これは実行力です。
これを胆識と申します。
知識、見識、胆識、
これが「識」というものの
3つの大事なことです。
☆ ★ ☆
本書は、以前、小泉純一郎元首相が
全閣僚に勧めたこともあり、
当時大変話題の書となりました。
その後もとぎれることなく版を重ね、
現在23刷、累計9万部を数えるまでに
なりました。
新書判で持ち運びが便利であり、
『重職心得箇条』の原文と解説文が
100ページの中に凝縮。
企業の幹部クラスに向けて行われた講義を
もとにしてつくられた本書は、
まさしく上に立つ者の行動指針となる1冊です。
「自分に才(仕事力)が足りない場合は、
才に優れた部下を用いて使えばいい。
才は補完が可能である。
徳は本人固有の資質であり、代替不可能である」。
いかにすれば「あの人のためなら」と
部下に慕われる人物になり、
組織を繁栄に導くことができるのか。
社長職や次期経営リーダーにとって、
またとないバイブルとなることでしょう。
『佐藤一斎「重職心得箇条」を読む』
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!