470円の低価格の日替わり弁当を東京都内や
神奈川県内のオフィスまで届けてくれると
評判の玉子屋。
創業者の菅原勇継さんはかつて食中毒地獄を
味わい、そこから全社一丸となって信用を
回復していった試練の時期がありました。
ここで紹介する「事業に失敗するこつ十二か条」は
そんな菅原氏の心の支えとなってきたものです。
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〈菅原〉
社長室に掲げられている
「事業に失敗するこつ十二か条」は、
腎臓がんから退院して会社に復帰して
しばらくした頃、かつての遊び
仲間が僕にファクスしてくれたんです。
誰の言葉か知りませんが、
これは僕の経営哲学みたいなものですね。
ちょっと読み上げてみましょうか。
【第一条】
旧来の方法が一番よいと信じていること
【第二条】
もちは餅屋だとうぬぼれていること
【第三条】
ひまがないといって本を読まぬこと
【第四条】
どうにかなると考えていること
【第五条】
稼ぐに追いつく貧乏なしとむやみやたらと
骨を折ること
【第六条】
よいものは黙っていても
売れると安心していること
【第七条】
高い給料は出せないといって人を安く使うこと
【第八条】
支払いは延ばす方が得だとなるべく支払わぬ
工夫をすること
【第九条】
機械は高いといって人を使うこと
【第十条】
お客はわがまま過ぎると考えること
【第十一条】
商売人は人情は禁物だと考えること
【第十二条】
そんなことはできないと改善せぬこと
例えば第六条。( 自らが経営する玉子屋の)
お弁当は好評だといって経営者が安心して
いたら進歩はありません。
だから僕は毎日弁当を食べて味付けや盛り付けを
を見ているし、回収したお弁当に何が残っていた
か、何が人気があったのかを調べる。
五万人のお客様の代表は僕だという感覚なんです。
食中毒事件の辛かった時期に取引先の人情で救わ
れ、機械化で汚名を返上してきた僕にとっては
九条、十一条も教えられることの多
い言葉ですね。
あと、僕は根っからの遊び人なので、最後
の十二条に励まされることも数多くありました。
常識的な経営者が「そんなむちゃな」と思う
ことも、結構平気でやってこられたんです。
玉子屋がこれまで高価な機械を思い切って
たくさん導入してきたのも、
僕が減価償却などを細かく計算するタイプの
経営者でなかったからでしょうね。
僕は会社に必要だと思ったら多少無理を
してでも行動に移すタイプの人間です。
その結果、失敗もあったが、
そこから得た教訓も大きかった。
大事なのは多少のリスクはあっても
遊び心で何でもやってみること。
ビジネスの原点はそこだと思います。
(『致知』2002年12月号より)
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!