好きなものをときめきながら少量食べることは.とても良い考え 第 1,800 号

人間をまるごととらえる「ホリスティック医学」
を提唱し、長年にわたって養生法の実践を
説いてきた帯津良一氏。

『致知』2010年3月号にご登場いただいた際
のお話をご紹介します。

…………………………………………

「心の養生・食の養生・気の養生」

帯津良一(帯津三敬病院名誉院長)

…………………………………………

私は生命場を高めるには
三つの要素が必要だと考えます。

「心の養生」「食の養生」「気の養生」です。

「心の養生」は一言でいえば、
常に向上心を持って取り組んでいくことです。

どこまでも生命のエネルギーを高め続ける
ことです。

ただ、ここで念を押しておきたいのは、
いわゆる「明るく前向き」という言葉に
ついてです。

意外でしょうが、実は明るく前向きな人ほど、
エネルギーを失いやすいのです。

私も最初は人間は明るく前向きなのがよいと
思っていました。そのために開業当初、患者さん
を明るく前向きにする心理療法チームを立ち
上げたりもしましたが、ある時、気づかされ
ました。

明るく前向きな人が経過がいいのではなく、
経過がいいから明るく前向きになれるのだ、と。
経過が思わしくなければ、奈落の底に落ちて
立ち直れなくなる人が多いのです。

ではどうしたらいいのか。

私は多くの人を観察する中で、
人間は本来哀しくて寂しい存在であり、
明るく前向きにだけでは生きていけないと
考えるに至りました。

元気な状態でも常に悲しみや不安が襲ってきま
す。ましてや重病ともなれば、尚更でしょう。

作家の水上勉さんは

「我々は虚空より来たりて虚空へ帰る孤独なる
旅人である」

とおっしゃっていますが、
まさに、そのとおりだと思います。

人間は哀しく寂しい存在という考え方にどっし
り腰を下ろした時、「人生は所詮そういうもの
なのだ」という一種の安心感が生まれます。

それが分かると、日々のちょっとした出来事
にも「ときめき」を感じるようになります。

カツ丼が好きな人ならカツ丼を食べることでも
いいでしょう。異性を見てときめく人がいる
かもしれません。

よい本や言葉に触れて発憤する人がいます。
どんな小さなことでもいいのです。

「ときめき」という希望の種を播いていれば、
心は自然と明るく前向きになります。

この前向きは哀しみや寂しさから出発していま
すから、たとえ壁にぶつかってもいつまでも
落ち込むことはありません。

悲しみ→希望→ときめき→明るく前向き→
悲しみ→希望→ときめき→明るく前向き……。

この循環を繰り返す中で、「死後の世界」に向か
って生命場のエネルギーは高まっていくのです。

次に「食の養生」です。

食の養生というと、どうしても食事制限や
玄米菜食という言葉を連想します。

もちろんそれも大切なことだと思います。

しかし、ステーキが食べたいと思った時には
思いきって食べて自然治癒力を高め、
翌日には再び玄米菜食に戻るといった
「攻めの養生」も大切なのではないでしょうか。

私は、大地のエネルギーを含んだ旬のもの、
地場のものを食べること、
好きなものをときめきながら少量食べることは、
とてもいいと考えています。

ちなみに、私はお酒も養生という持論があって、
晩酌は欠かしません。

三つめの「気の養生」。

これは大宇宙の気を体に取り入れることです。
気功、ヨガ、神道の呼吸法など自分に合った
健康法を実践していただきたいものだと思
います。

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 今回も最後までお読みくださり、

     ありがとうございました。感謝!

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