子供たちと命の真剣勝負をすることが求められます 第 2,718 号

いじめ、不登校、引きこもり、自殺……。
児童精神科医の渡辺久子さんは、
半世紀にわたり、
心の病を抱える子供たちに
向き合ってこられました。

渡辺さんによると、
子供たちが抱えている心の問題
近年、非常に複雑化してきているといいます。
ここでは渡辺さんが治療に当たった
12歳の拒食症の少女の話を紹介します

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(渡辺)
私は時に病院に泊まり込み、
細心の注意を払いながら治療に当たりました。
カーテンを閉め二人きりになり、
彼女に語り掛け続けました。

また、少しでも身体に栄養を入れるために、
ほんのちょっとのミルクを口に運ぼうとしますが、
彼女は「そんなのいらない」と抵抗します。
その時、咄嗟にこんな言葉がついて出ました。

「あなたの身体はあなたのものじゃない。
あなたのお母さんが命懸けで産んだのよ! 
そして、夜も寝ないであなたを育てたのよ」

これは医者として、
また二人の子を育てる母として
心から湧き出てきた言葉でした。

「あなたは『自分の身体だ』というけれど、
そうではない。
あなたの体はお母さんの真心のたまもの。
その身体を虐待するんだったら、私が許しません」

そう叱りながら、
時には1日中抵抗する彼女に
朝昼晩と付き添い続けました。
この時の「はっ」とした彼女の表情から、
「本気」は必ず伝わると教えられました

その後、数年の期間をかけて
彼女はひたむきに努力し、自分の体を
大切にケアする習慣を粘り強く身につけて
拒食症を克服しました。

無事成人を迎え、会社にも就職し、
40代を迎えたいまは、
二児の母親として元気に暮らしています。

私たち医者は時に、子供たちと
命の真剣勝負をすることが求められます。
そして、その勝負で必要なの
は偏差値でも成績でも
小手先の技術でもありません。

★渡辺さんは
「現代の児童精神医療が抱える問題点」
「十歳で経験した2つのカルチャーショック」
「アジアの子供たちを助けたい」
「子育てで本当に大切なこと」
などの内容について語られています。

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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