宇宙研究の第一人者である佐治晴夫さんは、
宇宙を研究すればするほど、
新しいテーマが見えてきたと語られます。
その一つが宇宙の摂理と『平家物語』の
面白い共通点です。
佐治さんのお話を聞いてみましょう。
『致知』10月号の記事の一部を配信します。
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(佐治)
研究すればするほど、新たなテーマが見えて
きて際限ないのですが、これまでの研究生活を
通して分かってきた宇宙の摂理について、
分かりやすい喩えを用いて
少しだけお伝えしたいと思います。
話は少し宇宙から離れますが、
『平家物語』は有名な次の一節から始まって
います。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。
奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の
塵におなじ」
ここには人生の虚しさ、儚さが綴られていると
言われていますが、見方を変えると、実は宇宙
の摂理が見えているような気がします。
もし物事が移ろわなければ、
子供の成長も、病気や怪我の治癒も叶いません。
世の中は諸行無常だからこそ
意味があるのではないでしょうか。
万物の存在は、常に揺れ動いていることに
よって保障されています。
ドイツの理論物理学者のヴェルナー・ハイゼン
ベルクが提唱している量子力学の基本原理、
「不確定原理」です。
絶対静止の状態では宇宙は存在できません。
言い換えれば、宇宙が存続するには「ゆらぎ」
が必要なのです。
宇宙を含めて、この世に存在するすべてのものは
原子や分子で構成されていますが、これらには
意思がないために常にランダム(でたらめ)に
動こうとします。
しかし、周囲には同じような原子分子がたくさん
あるので、お互いに干渉し合って、自由自在に
動けるわけではありません。
ランダムに動きたいのに動けないという
この相反する傾向が拮抗した結果生じる独特の
変動が「ゆらぎ」です。
その「ゆらぎ」にある条件を満たす変動が
偶発的に加わると突発的に一つの組織が
生まれるのです。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!