自然食を中心とした健康運動
を立ち上げ60年余。
92歳のいまも『あなたと健康』を発刊
し続けながら、「日本人の知恵」を
伝ている東城百合子さんの言葉
には、たくさんの愛情が
こもっています。
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東城 百合子(『あなたと健康』主幹)
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──改めて、いまの家庭はどんなところ
が問題だとお考えですか。
生活がないんです。
食事にしても、いまは添加物もあるし、
チンする機械もあるし、手を抜こう
と思えばいくらでも抜けます。
けれどもそのために、食べるものを通じ
て命を見るってことがないでしょう。
命とか心とか魂とか、そういう人間
の根っこが分からない。
だからお互いに挨拶もしない。
子供たちはそれを見て育つから、
人を平気で殺すでしょう。
この間も、人を刺したらどうなるかと
思ったといって、見知らぬ女性を
刺した少年がいましたね。
生活がないと命が分からなくて、
ただの物としか見ない。
恐ろしいですよ、いまの日本って。
──確かにおっしゃるとおりです。
日本人は本来、お天道様を
仰いで生きてきました。
食べ物を捨てたら、お天道様が
見てると言って親は愛を込め
て叱れたんです。
いまはそういう教育がないから、
命を見ると言われたって、
何のことか分からない。
食事の時に箸を使うのは、お天道様
が育てた米麦、野菜、魚や海藻など、
宇宙のエネルギーを抱き込んだ
尊い食物を大切にいただくためです。
だからお天道様はただの太陽じゃない。
宇宙のすべてを育てた命の本が
日本のお天道様なんですよ。
いまの人はそういうことを教わらない
で、頭の勉強ばかりやって、理屈
ばかり強くなっているから、
何が本当か分からないんです。
お金儲けに夢中で家のことを放っぽり
投げて、食べるものといったらその
辺で買ってきたものばかり。
昔の人は旬のものを大切に調理して
いただいてきたけど、いまはお腹が
いっぱいになれば何だっていい。
日本はもうすっかり変わって
しまったんですよ。
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『致知』 2018年3月号【最新号】
連載 「生涯現役」P110
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝