北朝鮮が核弾頭小型化に成功、米中経済戦争
の激化、韓国との衝突、少子化と財政難…
内憂外患の危機を「戦争と戦士の
文化」がチャンスに変える。
日本人たちにとって最も重要なものは、
子どもの数を増やさなければなら
ないということだ。
とりわけ多くの老人たちを支える人間の数が
少ないのは致命的だ。だからこそ、本書で
説かれる戦略、戦争、そして平和とい
うのは、子どもたちの話から
始めなければならない。
つまり無料の不妊治療を提供し、無料のチャ
イルド・ケアを全国民に提供することによっ
て、その数を増やすべきだということだ。
国防と同じくらい大切なもの日本が国民に提供
しなければならないのは、「安心して子供を
産み、育てられる制度」である。
本格的な国家情報機関の設置をもう一つ、日本
にとって重要なのは、一刻も早く本格的な
国家情報機関を設置することだ。
ほぼすべての国が、情報機関、あるいは公安
機関を持ち、複数の組織のネットワークを
国内外に張りめぐらせ、自国の安全
保障に資する情報を収集している。
しかも財政の縛りも、他省庁との細張り争い
もなく、無制限に近い自由を与えられなが
ら、社会のあらゆる分野で活動しているのだ。
情報活動は、世界のどの国に
とっても重要である。
アメリカのCIAの活動はもっぱら英字新聞
とインターネットに頼りきりで、その活動
の約九割には価値がないが、国の対外
戦略立案・遂行能力は「どれだけ
正確な情報を収集し、分析
できるか」にかかっている。
逆に言えば、一国の戦略の水準は、その情報
収集・分析能力の水準を超えられない。
私は米軍がタリバン掃討作戦を行ったとき
にアフガニスタンに滞在していたが、アフ
ガンの主要言語であるダリ語、パシュ
トー語、ウルドゥ語を、米軍人の
誰も理解できなかった。これ
で情報活動が成功するはずもない。
日本も過去においては高度な情報活動をきち
んとしていた。有名な「南満州鉄道(満鉄)
調査部」は当時世界でも最高水準の
調査レポートを作成していた。
彼らはハルピンやその他の場所で、ロシア人
をエージェントにして情報を集めていたのだ。
当時、東京では松岡洋右外務大臣がドイツ
との同盟を推進していた。
しかし満鉄調査部の報告書によれば、
「ソ連がドイツに勝利する」とあった。
つまり日本はソ連軍の中に優秀なエージェ
ントを持っており、そのエージェントは
ソ連軍の一部と同行していたということだ。
にもかかわらず、東京の外務省高官たち
は、ドイツが勝つと信じ込んでいたのだ。
満鉄調査部は日本の陸軍、関東軍に情報を
流しており、ノモンハンにおける日本軍と
ソ連軍の戦闘も詳しく分析して、「ソ
連とは戦わないほうがいい」との
結論を出していた。
だが、ドイツ大使館が流していた「いかに
ドイツが欧州戦線で勝利しているか」との
プロパガンダに引っかかってしまった。
日本は自信をもって、適切な訓練に
よって情報員を育てるべきだ。
エドワード・ルトワック『ルトワック
の日本改造論』(奥山真司、訳)
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!