宮崎は十河の懐の広さを尊敬し.十河は仕事の出来る男として宮崎を愛した – 2-2 – 第 391号

 宮崎は石川県金沢に生まれた。

 中学卒業と同時に官費給付生としてロシア

に渡り、その後満鉄のロシア留学生として当地

にいること合計6年、1917年、ペテルブルグ

大学政治経済学部を卒業。

 同年7月帰国。

 メンシェビイキ革命の嵐の中のロシアを体験。

 その後満鉄に入社し、ソ連に関係する

さまざまな調査に従事。

 1923年秋にはソ連を訪問し、革命後の

実情をつぶさに監察している。

 この時期「ロシア通」として満鉄調査部内で

知られている。

 彼は「黒衣」に徹し、いかなるときでも政治

の表面には出てこない。

 したがって、彼は専門家の間では知られて

いるが、一般の人々には知られていない。

 満鉄ロシアウォッチャー。

 彼は満鉄入社6年目の1923年には総務部

調査課ロシア係主任を命じられている。

 この昇進は彼の抜群のロシア語能力を

かわれてのことだ。

 主任になって最初に手がけた仕事は、ソ連への

出張とロシア語文献の収集であった。

 彼は4ヶ月間、ソ連各地を廻り、得意のロシア語

を駆使して資料収集を行い、あわせて、

ネップ(NEP新経済政策)に

移行したソ連の実情を丹念に踏査していた。

 彼はこの調査を通じてソ連の実情を知ると同時に、

ネップから社会主義建設までの生々しい

ソ連の現状を見聞したのである。

 この経験が日本での統制経済のプラン作りに

大きく貢献したのである。

 宮崎がロシア語文献を集める以前から、満鉄は

ロシア研究のメッカとして知られていた。

 特にロシア革命後の満鉄はソビエト研究の

第一線にあった。

 満鉄は1923年には、開設間もない満鉄

ハルビン支局を通じて、ザ・バイカル軍

管区にあったオゾ図書館の蔵書2万冊

を購入し、さらに宮崎たちがソビエトを調査旅行

した際には、1000部以上のソビエト

関連の文献資料を購入していた。

 満鉄経済調査会のキーマンとして。

 満鉄経済調査会の誕生。

 満州事変の成功と関東軍による満州占領は、

満鉄に新しい課題を与えることとなった。

 それは、関東軍のシンクタンクへの満鉄調査課

の「変身」であり、具体的には満鉄経済調査会

の設立であった。

 この研究会を契機に宮崎は十河信二と親交を

深め、その後の行動をともにする。

 宮崎は十河の懐の広さを尊敬し、十河もまた

仕事のできる男として宮崎を愛した。

 役割は国策立案にあり。

 「満州産業開発5ヵ年計画」の立案。

 突貫作業で計画を立案。

 陸軍将校たちが宮崎のプランをふまえて、

その具体化に奔走したのである。

 無論、その背後に石原がいたことは

いうまでもない。

 こうして、いわば満州だけが切り離されて

日本に先行するかたちで、宮崎たちの

構想が実現していったのである。

 素案作りの舞台となった場所は

満州の温泉であった。

 日本の企画院は、「モノの予算」と称された

「物動計画」を作成することで日本の

戦争経済の「参謀本部」となった。

 わたしが宮崎正義に注目したのは、いまから

10年以上前のことである。

 調べれば調べるほど、良きにつけ悪しきにつけ

今日批判の対象とされる「日本的経済システム」、

あるいは「日本株式会社」をグランドデザイン

した人物が、宮崎正義であるという確信は

強くなった。

 彼は生涯黒衣に徹したために、多くの

人々は彼の存在に気づかない。

 彼の公式の肩書は満鉄調査課の一職員

にすぎない。

 しかし、彼の経歴を調べてみるとロシア革命の

銃弾をくぐり、革命後のソビエトを訪問して

ソビエト・ロシアの実情を実地に調査し、

ソ満国境にあって満州事変を経験し、

事変後は満鉄経済調査会を創立し

満州国建国のグランドデザインを担う。

 さらにその後は日本に転じて、参謀本部と協力

して日本と満州を結ぶ戦時経済体制の

グランドデザインを担当する。

 それを実施し戦時体制を作り上げてさらに

それを戦後へと継承させたのは革新官僚達

であるが、その素地を作り上げたのは

宮崎正義だった。

 彼は満州事変の勃発時には満州にあって

関東軍と行動をともにするが、それに

ついても黙して語らない。

 彼は日本に転じて参謀本部と協力して日満

財政経済研究会、通称「宮崎機関」を

作り、統制案を作成するが、膨大

な作成資料こそ残したものの‥‥‥

 彼自身は事務記録を除けばこれに

ついては何も記述してはいない。

  小林英夫 (著)

『宮崎正義の生涯:「日本株式会社」を創った男』

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 今回も最後までお読みくださり、ありがとう

             ございました。 感謝!

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