家康は人生50年と言われていた時代に75歳の長寿を全うしている.その因は? 第 2,137 号

俳優の滝田栄さん。滝田さんはいま、
俳優としての活動の傍ら、仏像彫刻や
仏教の研究にも力を入れられています。


本日は、滝田さんと泰門寺住職・堀澤祖門さん
の対談の中から、滝田さんが仏教に触れる
きっかけとなった出来事についてご紹介
します。


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(滝田) 
僕は長い長い迷いの世界を彷徨いながら、
「こういう生き方でいいのかな」という思いが
自分の中で蓄積されていって、
仏教とのご縁をいただいたように思います。
まさに再誕というか、本当の自分を見つける
道のりでした。

最近になってようやく「あっ、これが
そうだったのか」と分かり始めた感覚を
得ているところです。


(堀澤)
仏教とのご縁はどういうものでしたか。

(滝田)
僕は1983年、NHKの大河ドラマ『徳川家康』
で主人公の家康を演じることになりました。
初めは歓喜したんですけど、いざ役づくりに
入った時に、家康という人物がさっぱり分から
なくなったんです。

織田信長、豊臣秀吉、今川義元など他の武将は
どういう人なのか、何をやったのか全部分かる。
だけど肝心の家康だけは全く正体が掴めません
でした。


分からないと演じられませんから、もう一度、
原作を読み返していた時に家康が竹千代と
呼ばれていた少年時代、6歳から19歳までの
間、今川義元の人質として太原雪斎禅師に
預けられていたというくだりがあったんです。

雪斎禅師ゆかりの臨済寺(静岡市)に行けば
何か分かるのではないかと閃いて、早速連絡
をして、しばらく身を置かせていただきました。

(堀澤) 
何か分かりましたか。

(滝田)
家康がこの寺にいた、この空気を吸っていたと
いうこと自体が感動だったのですが、家康が
ここで何を得たのかはなかなか分かりません
でした。

その中で、これは一つの真実かなと思ったのが、
修行僧が食事前に感謝の気持ちを込めて唱える
「五観(ごかん)の偈(げ)」でした。
そこには、この一杯のお粥をいただけるだけの
行いをしているのか、この料理をつくった人の
気持ちを考えてみなさい、自分以外の人のため
にどれほどのことをしているかよくよく考えて
みなさいといったことが書かれてある。


竹千代も食事の度に、この「五観の偈」を必ず
唱えていて、それを身につけていたはずだと
思いました。

実際、家康は生涯にわたって一汁一菜なんです
ね。それで人生50年と言われていた時代に75歳
の長寿を全うしている。

しかも、亡くなる前、大名たちを集めて
「天下は万民のためのものだ。
上に立つ者は決して贅沢をしてはいけない」
と戒めているんです。


これはその一例ですが、このように家康という
人物はよくよく人の気持ちを知り、自分たちが
生きる意味を学んでいる。

贅沢と栄華を極めようとする他の武将たちと
比べると、全く生き方のテーマが違うことに
気づいたんです。

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  今回も最後までお読みくださり、

    ありがとうございました。感謝!

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