富や成果を分かち合う会社は社風がよくなり発展していく 1,962号

フィギュアスケート日本代表・羽生結弦選手が
出演したことでも話題となった映画「殿、利息
でござる」。その原作は江戸時代、仙台藩吉岡
宿で町の窮状を救った人々の実話をモデルに
した磯田道史さんの歴史小説です。

宿場町はいかに再興したか。その道標と
なったのが、代々商家に伝わってきた
『冥加訓(みょうがくん)』の教えでした。

「冥加訓を読む会」代表の本田耕一さんのお話
によれば、そこには健康長寿の秘訣から夫婦
円満のあり方まで、様々な教えが詰まって
いるようです。

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(本田)
『冥加訓』を俯瞰すると、「分かち」と
「誠実」という大きく2つのことを教えて
くれているように思います。例えば、
「分かち」については次の一文が印象的です。

「道理に逆らって入ってくる財貨は、当面の
貯えとなっても、いずれは浪費されてしまう
のです。ところが、自分の満たされている富
を二分して貧者に渡せば、不足した
二分は天から補充されるので、
いずれ元の富を得ることができます。

しかし、不当に貯えた富は、そのうち10倍
にして天から取り返されてしまうのです。
正当な富を社会に還元すれば、必ず
天は10倍にして取り返してくれるのです」

これは現代にも通用する戒めです。職場に
おいて上司が部下と分かち合うどころか、
手柄を独り占めして出世の踏み台にする、
という部下の愚痴を酒場で耳にすることがあり
ますが、そういう職場はいずれ信頼を失い、
生産性は低下して会社は衰退することになります。

反対に富や成果を分かち合う会社は
社風がよくなり発展していくことは、
自然の理と言うべきでしょう。

※本記事は月刊『致知』2018年3月号
特集「天 我が材を生ずる、必ず用あり」
より一部を抜粋・編集したものです。

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