「かんてんぱぱ」ブランドで知られる
寒天メーカー・伊那食品工業。
寒天製造ひと筋で48年連続増収増益という
偉業を成し遂げた同社を率いてきた塚越寛氏
が、『致知』2008年2月号のインタビューで
紹介された「二十一世紀のあるべき経営者の
心得」という興味深いお話があります。
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「二十一世紀のあるべき経営者の心得」
塚越 寛(伊那食品工業会長)
『致知』2008年2月号より
※肩書は掲載当時
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私は、単に経営上の数字がいいというだけでなく、
会社を取り巻くすべての人が、日常会話の中で
「いい会社だね」と言ってくださるような
会社でありたいと願っています。
いい会社のイメージというのは
私たちの中でははっきりしています。
それは例えば、社員が親切だとか、笑顔がいい
とか、隣近所に迷惑をかけないとか、
よく掃除をして周辺の環境をよくすることに
貢献しているとか、これらはみんな
いい会社の特長としてあげられると思うのです。
残念ながら、そういうものを評価する仕組みが
いまの株式市場にはありません。
だから私は上場は考えないのです。
利益も成長も、「いい会社だね」と
言っていただけるような企業活動をした結果
得られるものです。
そのためには、まずリーダーである私が
自分を律していかなければなりません。
ここに「二十一世紀のあるべき経営者の心得」
というのを掲げていますが、私は三十年
以上も前からこうした視点で自分を省み、
自分を律してきました。
当初は「一九七〇年代の企業経営者心得」と
してまとめたものを、幾度も書き換えながら、
会社として、経営者として、
本来あるべき姿を確かめ続けてきたのです。
「二十一世紀のあるべき経営者の心得」
一、専門のほかに幅広く一般知識をもち、
業界の情報は世界的視野で集めること。
二、変化し得る者だけが生き残れるという
自然界の法則は、企業経営にも通じることを知り、
すべてにバランスをとりながら常に変革すること。
三、永続することこそ企業の価値である。
急成長をいましめ、研究開発に基づく種まきを
常に行うこと。
四、人間社会における企業の真の目的は、
雇用機会を創ることにより、
快適で豊かな社会をつくることであり、成長も
利益もそのための手段であることを知ること。
五、社員の士気を高めるため、社員の「幸」を常
に考え、末広がりの人生を構築できるように、
会社もまた常に末広がりの成長をするように努
めること。
六、売る立場、買う立場はビジネス社会において
常に対等であるべきことを知り、仕入先を大切に
し、継続的な取引に心がけること。
七、ファンづくりこそ企業永続の基であり、
敵をつくらないように留意すること。
八、専門的知識は部下より劣ることはあっても、
仕事に対する情熱は誰にも負けぬこと。
九、文明は後戻りしない。
文明の利器は他社より早くフルに活用すること。
十、豊かで、快適で、幸せな社会をつくるため、
トレンドに迷うことなく、いいまちづくりに
参加し、郷土愛をもちつづけること。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!