コロナ禍で先行きが見えづらく
不安感の漂う時代の中、
「いま」「ここ」をどう乗り切れば
よいのか――。
私たちにそのヒントを与えてくれる
「禅」の教え。
本日は、心に残る言葉をご紹介します。
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1月9日 人間の成長
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科学の進歩という点から見ると、
今まで、百年、二百年で出来たことが、
一年、二年の間に出来上がってしまって、
時間は益々短縮されています。
だが人間は、育つのにどうしても、
十年、二十年とかかる。
人間の速成法はまだやっていないから、
五十、六十にならんと
ほんとうの人間にならん。
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1月14日 全力の努力
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われわれ人間は、どん欲、憎しみ、無知などの
弱点をもっているが、それにしても、
われわれの生命を軽々に捨てるべきではない
と信じている。
われわれに道徳的、精神的になんらかの価値が
あるとすれば、全力を傾けて生命の保存を
はかるべきである。
すべて人間の尊厳を発揮するものに対して、
われわれの努力が払われなくてはならない。
『鈴木大拙一日一言』
(横田南嶺・監修/蓮沼直應・編)
世界に禅の神髄を説き、”人類の教師”とも
称された仏教哲学者・鈴木大拙。
本誌2020年8月号では「鈴木大拙に学ぶ
人間学」を特集し、読者の方々から大きな
反響をいただきました。
本書は、今年が大拙の生誕150周年に当たる
ことを記念し、刊行されたもの。
その膨大な著作の中から精選された大拙の言葉
が、366の語録になりました。
円覚寺派管長・横田南嶺師監修のもと、編纂に
当たったのは、大拙の思想研究一筋に打ち
込んできた蓮沼直應氏。
「これまで鈴木大拙の著作を自分なりに
読んできたつもりであったが
(中略)
多くの素晴らしい言葉を目にしながらも
自分がそれを見落としてきたことに
改めて気づかされた」
と、あとがきで述べられている通り、その深淵
な思想は汲めども尽きぬ学びを読み手に
与えてくれます。
「一歩一歩歩けば何でもないぞ。
一歩一歩努力すれば、
いつの間にか高いところでも上がっている」
「なんでもない仕事、それが最も大切なのです。
何かの目を驚かす、というようなものでなくて
よいのです」など、初めての大拙の教えに
触れる方にも親しみやすい名言が数多収録
されており、大拙の入門書としてもおすすめ
の一冊です。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!