愛知県で自動車整備工場を営む榊原たか子さんは、
9年前にご主人を亡くされ、以来、工場を
切り盛りされています。
そんな榊原さんの心の支えに
なっているのが『致知』。
榊原さんがどういう思いで『致知』を読まれている
のか、お寄せいただいた文章をご紹介します。
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私は「田舎のモータースのおっかさん」です。
9年前の年末、自動車整備工場を経営して
いた64歳の主人を一瞬にして
脳内出血で亡くしました。
それから、私の第二の人生が始まりました。
火葬場で拾骨を待つ間に、私たち夫婦を
支えてくれた従業員の彼に言いました。
「私はこの工場を続けたい」。
彼も
「僕も続けたい」
と言ってくれました。
4人の子持ちである彼に転職はさせられません。
私は主人が残してくれた整備工場を自分の手で
守ろうと思いました。
後継ぎのいない私には重大決心でした。
その後、いろいろなことはありましたが、一つ
ひとつの壁を必死に乗り越えてきました。
おかげさまで、うちで働いていた人も戻って
きてくれ、現在に至っています。
周りの人たちに支えられ、主人が残した整備工場
に感謝し、一日一日を大切に暮らしています。
『致知』を知ったのは主人の死の悲しみを
乗り越えた頃でした。
『致知』からは夢と希望と栄養を与えられました。
女だてらにできることはあります。
私の指針は、お客様に喜んでもらえる商売人に
なることで、偉大な経営者の真似はできません
が、『致知』に登場された方々の実体験は
とても参考になります。
朝7時にすべてのシャッターを開け、仕事が
終わるのは夜遅くになることもありますが、
シャッターを閉める時には両手を合わ
せて一日の感謝をします。
一人暮らしにも慣れ、起きている時も寝ている
時も、いつも仕事のことを考えています。
昼食は私がつくり、家庭と同様、三人がともに
仲良く明るい職場でなくてはいけない
と思っています。
従業員二人に私は食べさせてもらっていると
思えば、悲しいことも腹が立つことも
ありません。
「厳己以成・驕己以敗」という言葉が
あると教わりました。
己を甘やかせず、厳しく律していく
ことで物事は成功する。
しかし、驕慢になり、つつしみ、謙譲さ
を失うと、必ず足を掬われ人生に敗れる、
という意味だそうですが、この言葉
に学び、喜びの人生にしたいと
思っています。
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あなたの人間力を高める月刊誌『致知』
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今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!