〈畑〉
命は太陽の光が必要だったり、風が必要だったり、
風が皮膚にどのくらい当たるかで反応してしまう
のです。そうした命を持つ生き物とのつながり
みたいなものに、自分の命を置くことに、
私はこの上ない興味がある。
――まさに生命に触れておられるんですね。
動物に接している時の先生の表情を見ると、
真心こめて、誠心誠意接しているな、
という感じを受けるのですが、それを厳しく
超えている。
〈畑〉
デレッとしていたら、
はねつけられてしまいますからね。
あふれる愛情を持っていても突っかかられて、
ろっ骨を折ったという話もあります。
分析力を持って、相手からの情報と
こちらからの情報と柔軟に受け渡ししながら
対応していかなければならない。
片時も油断できないのです。ちょうど、
赤ん坊を母親が育てるときのように、
まだ、抽象能力のない丸裸の頼りないものの
要求を素直に聞いて、そして、満足を与えて
いくというようなことだろうと思います。
――それにしても、アマゾンの秘境を平気で旅
したり、インドの泥水を飲んだり、獰猛な動物
と触れ合ったり、そういうことができるという
基本的な秘訣は何ですか。
〈畑〉
常に気持ちが前向きであるということです。
それが非常に大切です。
ほかにもいろいろな表現があると思います。
「神に感謝する」といってもいい。
私が好きなのは、「いま、自分がここに生きて
いることに対して感謝する」というか、
「生きている」という事実に対して、
自分が前向きに喜んでいるということですね。
わざとでもいいから「喜んでいる」ということが
秘訣です。
――ああ、「楽」ということがポイントだ、と。
〈畑〉
はい。それでないとやっていけないですね。
アマゾンの奥地で暮らすときでも、
私は日本の食べ物を一切、持っていかない。
当然ながら現地のものしか食べられないわけで、
それを「おいしい」と思って食べる。
一度でも「まずい」と感じたらもう駄目ですね。
下痢はするし、風邪はひく。
命を落とす羽目にさえなります。
だから、うそでも、景気づけでもいいから、
「アッ、おいしいではないか、もっと
持ってこい!」と一番先にやる。
そうすると、不思議に病気にならない。
だから、常にあらゆる環境を
楽しんでしまうというところに、私は、人生
を生き抜く秘訣があるように思います。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!