令和元年、58歳の若さで、
歌舞伎義太夫としては40年ぶり
二人目となる重要無形文化財保持者(人間国宝)
に認定された竹本葵太夫氏。
伊豆大島の一般家庭に生まれ、
国立劇場の研修生として
伝統芸能の世界に飛び込んだ氏は、
厳しい芸の一道をいかに究めてこられたのか。
『致知』10月号に掲載された
その一途一心の歩みから、
人生・仕事を発展させていく極意を学びます。
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――数々の賞を受賞し、順調に歩んでいる
中で、もう一度自分を鍛え直そうと思われた
ことが、葵太夫さんのすごいところですね。
【竹本葵太夫】
というのは、高校時代から早く本格的な
修業を始めたいと思っていましたから、東京に
行った時にいろいろな先輩方の芸談集を買って
読み漁っていたんです。
それを
「ああ、一流になった方はこういうことを
考えていらっしゃったんだな」と、
自分の行動指針にしていました。
ですから、もちろん追い越すことは
いまだにできませんけれども、
若い頃から一流の方々に
一歩でも早く近づきたいという思いは
持っていました。
あと、これは師匠方が
よくおっしゃっていましたけれども、
「耳が承知しない」と。
要するに、芸を聴いて判断する力は、
実演の力より先行していて、
自分ではうまくやっていると思っていても、
耳で聞いて分析すれば基準に達していない、
できていないところがたくさんあるという
ことです。
そうして常に足らない、足らないと思って
自分の芸と向き合っていますとね、
できていると思っていたことにも
新たな課題が見つかって、
また次の扉が開いていくんですよ。
「芸に終わりはない」と言いますけれども、
「これでうまいことやっている」と思えば、
やはりもうそこで成長は止まってしまいます。
昔からそういう芸を
「仏芸(ほとけげい)」と申します。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!