「忍術を志す者は、毛頭も私欲のために忍ぶ
ことなく、また無道の君主のために謀る
ことはしてはならない―」。今日では、
奇術や卓越した身体能力で注目され
ることの多い忍者だが、根幹と
なる精神性がなければ見せ物
と変わらなくなってしまう。
忍術を「道」に高めるために必須な精神とは
いったい何だったのか。『万川集海』ほか、
貴重な忍術書を具体的に読み解き、誰も
知らなかった忍者が忍者たる核心に
迫る初めての書。
日本人は「道」が好きである。茶道、華道、
書道、武道など、さまざまな分野での
「道」が形成されている。
その意味するところは、単なる個別分散化
された分野での「術」ではなく、求道者の
ごとく精進し、精神性を伴って体系化
されることによって初めて「道」を
極めることができるとの考えが
あることによると言える。
『徒然草』を見てみると、次のように、
さまざまな「道」が記されて
いることに気づく。
♦人としては善行を自慢せず、人と争わない
ことが「徳」である。他人よりすぐれている
ことがあるのは、逆に大きな短所である。
♦ひとつの道にも本当にすぐれている人は、
自分自身の欠点を明らかに知っているため、
常に満足することなく、ついには何事で
も自慢することがないのである。
こうした記述は忍術書にもしばしば
見ることができる。
人に名が知られるようでは、本当の達人の
忍者とは言えないのである。ましてや自分
はこのようなことをしたとして誇ったり
するのは、忍者として全く評価されない。
一つの仕事を成し遂げたら、その功績にしがみ
つくのではなく、また新たな仕事に取り組む
という、一流の仕事人であることが大事
なのである。
多くの人と知り合いとなり、季節ごとの贈り物
をするのを忘れずにして、常に連絡をとって
関係を保っておくことが大事である。
そのためには、各地をまわって新たな知り合い
を作ったり、旧知の人のところを訪れて、
関係を深めたりする必要がある。
忍者は厳しい修行を積み、何事があっても「忍」
の一字で耐え、生き抜くことが求められ、
強い精神性を持ちあわせていた。
山田 雄司 (著)『忍者の精神』
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!