2022/05/26 (木) 7:32
北京五輪・男子スノーボード競技で金メダルを
獲得した平野歩夢選手を陰で支え続けた人が
います。
スノーボードハーフパイプ日本代表トレーナー
の内田友来さんです。
平野選手は、どのような思いで
過酷な競技に向き合ってきたのでしょうか。
内田さんのお話を通して、
その努力の一端を知ることができます。
『致知』6月号の記事の一部を紹介します。
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〈内田〉
2022年2月11日、北京オリンピック
スノーボード男子ハーフパイプ決勝。
過去2大会連続銀メダルの平野歩夢選手(23歳)
が同種目で日本初となる金メダルを獲得した瞬間、
現地の競技会場は歓喜の渦に包まれました。
隣に立っていたコーチも泣き崩れる中、
私はただただ安堵するばかりで、感動を味わう
余裕すらなかったというのが正直な心境です。
雪に覆われた半筒状のコースを滑ってジャンプし、
高さ5~6メートルの空中でトリックプレーを
連続で繰り出すこの種目は常に危険と隣り合わせ。
着地に失敗し、打撲・出血・骨折・内臓破裂で
救急搬送されることも珍しくない、
まさに命懸けのスポーツだと言って過言では
ありません。
ハーフパイプ日本代表トレーナーの一員として
メディカルケアを担当する私にとり、
五輪期間中はとにかく選手が怪我をしないよう
マッサージや鍼灸などを施し、
手ぶらでは帰国させられないとの
心意気でサポートに徹しました。
大会が終わるまで本当に日々必死でしたが、
振り返ってみると、
貴重で有り難い経験をさせていただいたと
つくづく実感しています。
(中略)
日本選手の中でも傑出していたのが
やはり平野選手です。コロナ禍
で一年延期になった東京オリンピックに、彼は
スケートボード日本代表として出場していた
ため、北京五輪までスノーボードだけに
集中できる準備期間は僅か半年。日本代表
チームに合流したのは2021年12月でした。
そこから彼のケアを手掛けるようになったので、
短い期間の関わりですが、
私の目に映った平野選手の姿は
「努力の天才」だということです。
人が見ていない一人の時間も含めて黙々と努力
している。けれどもその姿を決して
ひけらかさない。練習後の治療中に
「努力を人に見せるなんて格好悪いと思ってる」
と話してくれたことがあります。
北京五輪の1週間前にアメリカ・コロラド州で
最終合宿を行った時のこと。
普通は直前ともなれば、どの選手も本番に
向けてスローダウンして調整するにも拘わらず、
平野選手だけは凄まじい気魄で追い込みをして
いました。
人類史上最高難度と称され、
彼以外に誰も成功したことのない超大技
「トリプルコーク1440」
(斜め軸に縦3回転、横1回転)を完璧に
仕上げて五輪の舞台に立つという
強い意志の表れだったと思います。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!