新元号が公布された今年。
「令和」を社名とした新会社が誕生した他、
「令和」を用いた社名変更も相次ぎました。
そうした動きの一方で、
商号を変えることなく長い歴史を
重ねてきた老舗の存在感が高まっています。
企業の平均寿命が30年と言われるなか、
老舗はなぜ永続することができるのでしょうか。
その秘訣を社会教育家で老舗研究約50年の
田中真澄氏に語っていただきました。
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(田中)
老舗には私たちが学ぶべき点が多くありますが、
参考にすべき例を紹介してみたいと思います。
岡山県真庭市にある古見屋羊羹は、251年続く
和菓子店です。
決して派手さはなく、
質素で地味なイメージの店なのですが、
ここには創業から今日まで一日も休まずに
続けられている店主の日課があります。
それが餡(あん)作りです。井戸水を汲み、
北海道の農家から特別に仕入れた
小豆を煮ながら秘伝の餡を作るのです。
仕込みの際に熱湯が飛び散ってくるので
店主の顔や手には火傷が絶えることが
ありません。それでも、餡は古見屋羊羹の
命そのものという高い意識のもと、
江戸時代から九代にわたって日々の
餡作りの伝統を受け継いでいることは
極めて稀有(けう)であり、そこに
深い感動すら覚えます。
この羊羹が岡山県を代表する銘菓となり、
明治天皇・昭和天皇への献上、
有力百貨店の人気商品として大きな注目を
集めるのも、幾世代にわたる継続の
なせる業だと思います。
次に紹介したいのが、今年で創業130年となる
東京の日本ルツボという会社です。かつては鉄
を熔かすのに欠かせない容器として
重宝されたルツボ……
★本記事は月刊『致知』2015年4月号の
特集「一を抱く」の記事を一部抜粋・編集
したものです。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!