交渉相手の批判は「宝の山」である。
批判されてこそ次の手が見えてくる。
批判に応え、さらなる批判を封じ込める。
相手の批判に真面目に応えるだけで、
相手にダメージを与えられる。
誰よりも早く発言して議論を引っ張る。
議長になって会議を仕切る。
誰に話を聞くかで流れが変わる。
日本人スタッフの地位向上をはかる。
分担金の大きさと比べて圧倒的
に少ない日本人職員。
国際交渉の表舞台が会議であるとすれば、
それを支えるのは事務局のスタッフである。
国連機関の職員は、みずから情報を収
集分析するとともに、会議の運営を
側面からサポートしている。
そこに日本人が多くいれば、
当然日本の影響力は高くなる。
各国もそれがわかっているから、自国
の人間を事務局に送り込もうと、あ
の手この手を使ってくる。
同じ話を何度もされると
プレッシャーになる。
私がどうやって日本人スタッフの地位
向上をはかったかというと、特別
なことは何もしていない。
そのスタッフの上司のところへ
行って、四方山話をする。
そして、日本人スタッフの評価を
聞いて、昇格の検討を要請する。
特別なことはいらない、
ただ続けるだけ。
こういうことは、続ける
ことに意味がある。
大事なのは、その案件をつねに
相手に意識させることだ。
そのために、定期的に
会いに行くのである。
私の交渉術というのは術と呼ぶほどの
ものではなく、当たり前のことを
当たり前にやること、淡々
とやり続けること。
それに尽きるのではないかと思う。
交渉は会議の前からはじまっている。
会議資料の作り方と事前の根回し。
交渉の成否は事前準備にかかっている。
資料づくりのコツは、一つ
は簡潔にまとめること。
もう一つは相手の目線に
合わせること、である。
事前の対話を通じて味方を増やす。
会議に至るまでの準備期間でどれだけ
濃密なコミュニケーションができた
か、それによってその国の投票
行動が決まるといっても
過言ではない。
交渉力はどれだけ場数
を踏んだかで決まる。
こちらが出さなければ
相手の情報が使われる。
大事なのは、淡々と事実を提供
するという姿勢を貫くことだ。
事実をありのままに提供すれば、こち
らの意図を曲解されることなく、
一般の国民に伝達してもら
える可能性が高い。
要するに、特別なことは何もして
いないが、原理原則にのっとっ
て幅広くやるから、仕事
量が膨大になる。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝