小学校のとき仲が良かったAは、内気で控えめで、
クラスではあまり目立たないタイプだったのだが、
♠中学校に入ってからいじめにあった♠
友達だったはずの俺は、いじめの矛先が
自分に向かうのが怖くて助けられなかった。
それぞれ別の高校に進学し、Aとはそのまま疎遠になった。
しかし、25歳のときに偶然Aと再会し、飲みに行く
ことになった。
10年ぶりに会ったAは昔より痩せて、
背も伸びていてイケメンになっていた。
でも、外見の変化よりももっと驚いたのは、
♠Aが人の話を聞くのが偉容に上手くなってたこと♠
趣味や仕事の話で、どんなに専門的な内容でも興味を持って
話を聞いてくれて、共感してくれる。
こちらが胸を張って話せるような、自慢したいようなことを
的確に悟って質問してくる。
それでいて嫌味も皮肉もわざとらしさも感じない。
上手く説明できないけど、会話の流れや雰囲気みたいなのを
作るのが上手なのか、
常にこちらが話しやすい状況を作ってくれる、みたいな感じ。
営業の仕事にでも就いて頑張ってるのかなと思った。
そして翌年、中学校の同窓会があった。
成人式には出席しなかったAも来ていた。
Aをいじめていた奴(Bとする)と、その取り巻きも来ていた。
続きます。
俺がAと話していたら、Bが取り巻きを連れて
ニヤニヤしながら近付いてきた。
中学校のときにAを見捨ててしまった罪悪感があったので、
「嫌な事言われても無視すりゃいい、俺がガツンと言うから」
と言ったらAは
「大丈夫だよ、俺君は部活の友達とも話してきなよ」
と、俺は半ば強引に席を立たされた。
一次会が終わるとそのまま二次会になだれ込んだのだが、
Aはいなかった。
♠かわりに、Bが神妙な顔をして俺のところに来た♠
Bが言うには、先ほどちょっとからかってやろうと思いAに
近付いたが、Aは中学時代のいじめなど何も無かったかのように
あっけらかんとしていたそうだ。
ちょっと拍子抜けしたが、Aが人が変わったように
ニコニコしながら自分の話を聞いてくれるものだから、
Bはついつい自分のことを何でもかんでも話した。
結婚して子供が生まれたと言うと、
Aはまるで自分のことのように嬉しそうに共感してくれたらしい。
しかしそんなAの反応がだんだん気味悪く思えてきて、
Bはおそるおそる中学のときのことを覚えているか聞いた。
するとAは、微笑を浮かべた表情を一切崩すことなく、
「忘れるほど馬鹿じゃないし、許すほどお人よしでもない」
と吐き捨て、「有益な情報をありがとう」と言い残して席を
立ったそうな。
Bは「Aに個人情報を全て知られてしまった」と、青くなっていた。
今の住所や仕事、妻や子供の名前、洗いざらい喋ってしまったと。
取巻きたちも同じことをやられたらしく、
「自分たちの事を全部知られた、きっと復讐される、怖い」
と口々に言っていた。
次でラストです
後日またAに会った際にB達の反応を伝えると、
「ちょっとしたいたずらのつもりだったんだけど、
♠いじめをする人間って結構ビビりなんだね」♠
と、満足げに笑った。
Aいわく、
「同窓会のときに、中学時代にいじめを繰り返していたB達は
他の奴から無視されて、自分はクラスメイト、特に女子から
必要以上にチヤホヤされて、何だかもうそれだけでスカッとした」
とのこと。
余談だけど、中学のときにいじめを見てみぬふりをしたことを謝ると、
「何でいじめをしてない俺君が謝るのかわからない」
「小学校のとき一緒に遊んでくれて、今もこうして付き合いがあるのは
自分も嬉しい」と言われて、大の大人が号泣してしまった。
Aにこれから素敵な女性との出会いがあることを願ってやみません。
引用元 http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/kankon/1395389413/
今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。 感謝!