トレンドは最終的に世論が決めますが、
その裏には、大衆の好き嫌いだけで
はない、国家戦略論があります。
アメリカはこうすべきだとか、アメリカ
はこうあるべきだという、政治
原則があります。
政治原則、戦略論は、まず外交評論、
研究者の本、論文に現れます。
それが次はマスコミの社説論説に影響してくる。
それがまた政治家に影響してくる。
それが政府指導者の講演、国務長官の講演とか、
あるいは公聴会の次官補の発言とかに出てくると、
かなりのトレンドになってきたといえます。
米国の評論家の論説、その次は要人の演説です。
まず評論家の論説を読んで大きな流れをつかみ、
その中で政府の要人とか議会でどういうことを
言っているかをつかみます。
それから毎日の新聞の社説を読むことです。
流れの中で変な動きをする人はいますが、
大きな流れは見失いません。
私は、21世紀の日本の安全を確保するには、
日米同盟を盤石にすることが不可欠、と
一貫して主張してきました。
そのためには、米国にとっても日米同盟が
不可欠でなければなりません。
そのためには例えば米艦に対する攻撃に
対して、同盟国として反撃できる
ようにすればいいのです。
集団的自衛権の行使を認め、自衛隊が
シーレーンのパトロールに加われば、
東南アジア諸国も含め、日本は
大きな信頼を得ることができるでしょう。
日米関係は、米英関係と同等の
強固な運命共同体になります。
日米関係を盤石にすること、そして米国
情報を常に的確に把握すること。
この2つのことができれば、21世紀も
日本の自由と安全と繁栄を維持
できると確信しています。
これが外務省勤務40年、退官後22年の
試行錯誤から得た結論です。
現在世界のバランス・オブ・パワーの
変化を論じるならば、中国の勃興、
とくにその軍事力の飛躍的
増大を論じなければ何の意味もない。
⇒以下は、新居雄介氏(現役外交官)の
岡崎久彦評である。
キッシンジャーが日本で議論するに足ると
見ている人物は、岡崎大使以外に誰か
彼の頭に浮かぶでしょうか。
あるアメリカの有識者で、自分はキッシンジャー
よりも岡崎の方がずっとすごいと思うし、尊敬
もすると言っていた人がいたのを憶えています。
よく酒の席にも誘われましたが、ふっとその
時に応じた漢詩が出てくる。
花見で千鳥が淵を歩いていたときですが、
李白の漢詩とか西行の歌が何首か
スラスラ出てくる。
本業の国際安全保障、政治における知識を
超えて、明治の教養人が持っていただろう
部分を併せ持っていて、それが全体と
して人間的な魅力を作り出していた。
岡崎大使には、日本の良きサムライ文化の
最後と、明治の近代的な部分と、英国に
最初に留学したことが原体験として
あって、人格の基軸には、サムライ、
明治教養人、英国ジェントルマン
の3つがあったと思います。
⇒以下は、細谷雄一氏の岡崎久彦評である。
岡崎さんは人格を非常に重視し、ウソを
つくとか騙すとか、人間的に醜い行動を
取ることを嫌っていました。
政治家についても人格が評価の対象に
なっていました。
ノブレス・オブリージュ、つまり貴族的
でありまた高貴であること、表には
出ないが日本の国益のために
命を尽くす、貢献する。
そういったことに美徳を見ていた。
岡崎氏のライフワークである、アングロ
サクソン同盟論は、5・10年単位で考
える国家戦略というよりも、50年、
100年単位で考える大戦略、
グランドストラテジーです。
大戦略は総合的な、国家の生き方、生き様、
アイデンティティにもかかわってきます。
戦略、外交を語った人はたくさんいたが、
グランドストラテジーを語った
稀有な存在でした。
岡崎久彦『国際情勢判断・半世紀』
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今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。 感謝!