アメリカ対日戦略の壮大な仕掛け、北朝鮮
のクラシカルな交渉手法、中国のアメリカ
をも翻弄した二枚腰外交、利害・駆け
引きが絡み合う外交現場は、最高
のビジネステキストである。
成功事例、失敗事例も含め、これまで
外務省の中だけに蓄積されてきた貴重
な交渉経験と、そこから導かれた
知恵の数々を、初めて一般に
公開したという意味でも、画期的な一冊!
大切なのは、日本人が行ってきた交渉を
中心に、実際あった出来事から、成功で
あれ失敗であれ、日本人が使える知恵
を導き出していくことだと思う。
世界の一流外交官は、優秀な
ビジネスマンでもある。
明治大正の偉大な外交官たちが活躍できた
ベースの一つになっているのが、彼らは
ビジネスの世界において交渉という
ものを知っていたという事実だ。
ビジネスに応用できる交渉
のポイントは3つだ。
1.交渉には、明確な目標を
持って臨むこと。
2.その目標達成のために、大きな図式と
個別の段取りについて、分けた
上で綿密に考えること。
3.さらにその前提として、交渉の前、そし
て交渉の最中にも情報を収集し、分析し
続けること。特に背後にいる隠れた
利害関係者に気をつけること。
ポイントは、信頼を獲得し、長期的な
取引によって最終的には利益を得る
ことを可能にするためには、交渉
で相手を完膚なきまで追い詰
めてしまってはならないのだ。
これが、生身のヒトとヒトが
行う交渉の醍醐味でもある。
外交交渉おいては、このように最後の
局面で交渉当事者同士が内緒で「握り
合う」ことがよくある。なぜなら、
それぞれが各々の母国の利益を
背負っている一方で、交渉
当事者という「場を等
しくした者」でもあるからだ。
「組織的な記憶」を蓄積せよ。
大切なのは、「交渉に関する組織的な
記憶」を蓄積し、次の世代に伝えて
いくシステムを作り上げることである。
ビジネスの現場でも、世代は徐々
に替わっていくものである。
その一方で、ビジネスパートナー
との契約は長期的である。
その間、継続的に交渉が行われるという
のであれば、外交交渉においてと同じ
ように、交渉相手に関する記憶を
組織として、若い世代に伝えて
いく努力をする必要が欠かせないのである。
しかし実際のビジネスの現場
ではどうであろうか。
忙しさのあまり、個々の交渉に関する
記録や報告を作らずに、すませ
てはいないだろうか。
また企業としてこうした記憶を集積する
場所であるはずの社史編纂室などが、
不当に低い扱いを受けたりは
しないだろうか。
情報は「聞く耳を持つ人」
のところに集まる。
情報のズレの中にこそ真実がある。
交渉相手に関する一次
情報を徹底して集める。
自らが持っている「情報の非対称性」
を守り抜く。
情報は集めるだけではなく、
分析こそ命である。
私が外務省に入った当初、先輩外交官が
しばしば口にする言葉なので、すぐ
に覚えたフレーズがある。
「外交はロジに始まり、ロジに終わる」
というものである。
ロジは、「ロジスティクス」の略であり、
ここでいうロジとは、たとえば外交交渉
を行うための一連の手続きや配車や
宿舎、そして食事などにまつわ
る諸々の準備のことを指す。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!