引用元: ・スカッとした武勇伝inOPEN
うちのイケメン大叔父の武勇伝。
この人はある楽器(仮にピアノとします。)のプロ演奏者で、某有名国際管弦楽団にゲスト出演したり、映画監督に指名されてBGM弾いたこともあるすごい人。
この人にはひとり娘がいて(以下叔母と呼ばせてください。またいとこというのが正しいらしいがしっくりこないので。)、ピアノ教室の講師をやっていて長男・長女・次男の順で3人の子がいる。
長女ちゃんは小学校低学年まで私の勤務先で預かってたこともあり仲良くしているのだが、彼女はスポーツ万能。
足も早いし体も柔らかいし、体育の時間ではどの競技でも頭ひとつ抜けた数値を叩き出すそうな。
ことサッカーが得意で、クラスマッチでは文句なしの主力選手だった。
当然、地元の少年サッカーチームから声がかかっていたし本人も入りたいようだったが、叔母が許さなかった。
というのも叔母は父親を尊敬していたし、自分が一人っ子だったから「家族でオーケストラ」というのに強く憧れていて、
長男には弦楽器、次男に打楽器、唯一の女の子である長女には満を持してピアノを教えていたのだが、残念ながらそっちのセンスには恵まれておらず…。
それでも幼い頃からの英才教育で私なんかが聞くと立派に弾いていたのだが、叔母からすると全然ダメだそうな。
長女ちゃんはけっこう遅い時間までピアノの練習漬け。
相当きついことも言われたらしいが、小学校卒業するあたりになれば自分に才能がないことに気づいてくれるだろうと耐えていた。
晴れて中学生になった折り、さっそくピアノを切り上げてサッカー部に入りたい旨を相談したものの、叔母の答えはノー。
サッカーなんてもってのほか、吹奏楽部も中学レベルじゃかえって良くないから入部してはいけない。
ローティーンは最後の伸び盛り。
特別メニュー組んでやるから下校後は家でみっちりピアノ練習だ!と宣った。
長女ちゃんはもう、絶望で表情も無い状態に。
明るい子だったのに、家でも学校でも喋らなくなってしまった。
見かねた担任が特別面談するものの、ヒスって話にならない。
電話で「私が教えてやってるのに上達しない長女が悪いんだ」とキンキン声で愚痴られたときは戦慄した。
埒が明かずに夏休みに入り、いよいよ朝晩問わずのスパルタピアノ練習が始まろうとした頃、大叔父が叔母を訪ねた。
仕事で近く寄った帰り、孫の顔を見に来たらしいが、そこで長男くんが長女ちゃんのことを相談。
自分や父親のことは聞かなくてても大叔父の言うことなら聞くと思ったらしい。
事情を説明されて大叔父は叔母をピアノ部屋へ連れて行き、長女ちゃんがやっている練習曲を叔母に弾くように言った。
敬愛する父親の手前、張り切って披露した叔母だが半分も弾かないうちにもういい!と怒鳴られた。
そこから、いかに叔母の演奏が稚拙で凡庸かこんこんと語られ、果てはお前みたいな者に教えられてる生徒が可哀想、こんな無才が私の娘だなんて恥さらしもいいところだと言われた。
叔母は号泣。
「お父さんみたいに弾けないのは私が一番よく解っている。何故そんな風に言うの」と叫んだら大叔父は馬鹿者!と一喝。
「私ぐらいに弾ける演奏者なんか世界に何人もいるものか。
お前の実力のほどは昔から知っていたが、それでも頑張るからこそ、指導してやったし才能のことなんか今まで一度も言わなかった。
責めたところでどうにかなるものでもないからな。それなのにお前は何だ。
いいか、いい年したお前でも、親に責められるのは泣くほど辛いことなんだ。
孫はどれだけ辛かったと思う。恥を知れ!」
というようなことをもう少し厳しい言葉で言われ、叔母はやっと覚醒。
長女に詫び、好きな部活に入るよう許可した。
それから長女ちゃんはまさに水を得た魚状態で部活に打ち込み、夏が終わる頃には真っ黒に焼けてた。
中三だった長男くんも吹奏楽の強い学校から工専に進路希望を変え、現在ではすっぱり楽器やめて巨大ロボットを作るという夢を追いかけている。
唯一、次男くんだけ楽器を続けているが、パーカッションやってるとモテるから続けているんだと最近聞いたw
バンドマンになるとか言ってるので彼だけは続けるかもしれない。
叔母は相変わらず指導は厳しいけど態度が丸くなったと生徒さんに評判だし、大団円なのだが大叔父が…。
この件で少年サッカー観戦にのめり込み、第一線から引退してからは孫娘の熱狂的な追っかけと化した。
「応援してくれるのは嬉しいけど、一昨年まで世界的ピアノ奏者だったっていっても誰も信じてくれないんだ」と長女ちゃんは嘆いているがスマン、
イケメン老紳士が孫のチームを応援している姿、めちゃくちゃ萌えるw
結果よかったんかな
幼少期からの押し付けはどんなものでも嫌になっちゃうよね
叔母もコンファレンスの裏返しだったんだね。しかし大叔父GJ!世界的な演奏者なだけじゃなく、しかも子供に愛情のある人なんだな。
今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!