小学生の頃から、世の中をよくすることができる
のが政治家だと考え、その実現を目指して歩んで
こられた衆議院議員・下村博文さん。
その原点となる二十代のご体験を
語っていただきました。
────────[今日の注目の人]───
☆ 逆境は天から与えられた試練 ☆
下村 博文
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その思いをさらに強くしたのは、小学校
5年生の時だった。
私が風邪をこじらせて何日か寝込んでいた際、
いつもは鬼のように厳しい母が「何か
欲しいものはない?」と聞いてくれた。
私は家計に余裕がないことは分かっていた
ので、「いらない」と答えた。
しかし、母が「それでも」と言うので、
「本を読みたい」とお願いした。
母がその時買ってきてくれたのが偉人伝だった。
野口英世や二宮尊徳、エジソンやリンカーンなど、
10人ほどの国内外の偉人の物語が収められており、
私はそれをボロボロになるまで何回も貪り読んだ。
その本に出てくる偉人たちは、必ずしも恵まれた
環境で育ったわけではなく、貧困や病気、天災と
いった様々な困難を克服し、前向きに逞しく
生き抜き、一つのことを諦めずに突き
詰めていった結果、歴史に名を残す
人物になっている。
彼らの生い立ちと自分自身の境遇が重なり合い、
私は小学生ながら、「自分は天に試されて
いるのではないか」と感じた。
人生における困難や苦労、挫折、壁というのは、
その人がより大きな任務を果たすために
天から与えられた試練である。
そう捉えれば、たいていのことは乗り越えて
いけるのではないだろうか。
実際、もし父が交通事故で亡くなることなく、
ずっと普通の生活を送っていたとしたら、
私が政治家を志すことはなかったわけ
で、小学生の時に直面した逆境は
私にとって必要な試練だったと言える。
政治家になるという思いはあったものの、家族や
親戚に政治家がいたわけではないし、どう
やったら政治家になれるのか全く
分からなかった。
ただ……
※強い意志を持って政治家への道を歩み続けた
下村さんの人生行路の続きは本誌でどうぞ!
『致知』2016年10月号
連載「二十代をどう生きるか」P89
今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!