京都を代表する料亭「和久傳」、
大分湯布院を代表する温泉旅館「玉の湯」。
それぞれの女将である桑村祐子さんと
桑野和泉さんは共に、先代より経営を引き継ぎ、
ブランド価値をさらに高めてこられました。
追究される一流のおもてなしとは
どういうものなのでしょうか。
ここでは『致知』2月号の対談から、
「和久傳」の桑村祐子さんの
お話の一部を紹介します。
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(桑村)
特に大事にしていることは、毎朝の掃除です。
冬でも障子を開け放して、
スタッフみんなで掃除をします。
お座敷や廊下は塵ちり一つないように掃き、
畳や障子の桟の端まで丁寧に拭き、お座布団
は飾りの房がきちんと揃うように調える。
新入社員研修の時は、お庭の苔の間に落ちた
ゴミをピンセットでつまんで拾い、庭木の
葉っぱの一枚一枚を拭くようにしているんです。
「そこまでやるの?」と思われるくらい
徹底しているのには原点があって、
それは大徳寺に居候していた時の体験です。
(桑野)
そこに繋がるわけですね。
(桑村)
大徳寺での生活は掃除に始まり掃除に終わる、
そんな日々でした。
毎朝井戸水を汲んで水拭きするので、
さほど汚れてもないのになぜ毎日やるんだろう、
こんなに拭いていたら板が傷む
くらいに思っていたんですが(笑)、
ある日ふと、「拭いている
私が気持ちいい」って感じたんです。
掃除をする前とした後では空気が変わる。
人の気持ちが常に動くように、
目に見えないけれども、
空気も常に流れている。
大徳寺での掃除体験を通して
そういう気づきを得られました。
(桑野)
心を込めて毎朝掃除してくださっているから
こそ、このお部屋に入ると落ち着くんですね。
(桑村)
大徳寺で学んだことでいまなお大切にし、
スタッフにもよく伝えている言葉があります。
それは「はい」「ありがとう」
「ごめんなさい」の三つです。
何事も「はい、私がやります」という
積極的な気持ちで取り組む。何かミスや
失敗をしたら「ごめんなさい」と素直に
謝る。そして、何かしてもらった
時には「ありがとう」を口に出す。
「ありがとう」は魔法の言葉だとよく
言われますけど、とにかく「ありがとう」が
多く飛び交う組織にしたい。
大事なのは、この基本的な三つの言葉を
「心から言えるか」だと思っています。
★この対談では他にも
「和久傳と玉の湯が紡いできた歴史」
「経営者との覚悟」
「コロナ禍で生まれたチャレンジ」
「ステージに立てないのなら
自分でつくればいい」
「失敗してもお金を失っても
経験だけは前に進めておく」
などについて語られています。
★致知電子版でも全文お読みいただけます
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!