誰の人生にも必ず訪れる大切な人との別れ。
その現実を受け入れ、新しい一歩を
踏み出すことは簡単ではありません。
詩人の藤川幸之助氏は、
認知症になった母の壮絶な介護に向き合い、
その実体験から人々の心を支える
珠玉の詩を数多く紡ぎ出してきました。
本日は皆さまの心の糧になることを願って、
藤川氏初の自選詩集
『支える側が支えられ、生かされていく』より、
詩「あなたは歩き続ける」をご紹介します。
★『支える側が支えられ、生かされていく』
の詳細はこちら
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「お迎えがきたので帰ります」
夕刻になると
あなたは歩き出す
この世界の決まり事なんか
あなたには何にも関係なくて
あなたの行き着く場所なんか
この世界のどこにもなくて
あなたは歩く
飛ぶことを飛んでいる鳥のように
泳ぐことを泳いでいる魚のように
あなたは歩くことを歩く
あなたの歩く姿が
ふと美しく見えるときがある
あなたは歩き続ける
どこへ?
人生で一番楽しかったあの時間へ
あなたが生まれたあの家へ
愛する人と結ばれたあの場所へ
幼い頃泳いだあの海へ
笑い声が飛び交ったあのちゃぶ台へ
肩を組みあったあの職場へ
私があなたと歩きましょう
あなたが向かっている故郷の話をしながら
私があなたと歩きましょう
あなたの歌ったあの歌を一緒に歌いながら
不安なときは
私の手を握ってください
悲しいときは
愛する人の名前で私を呼んでください
疲れたときは
私と一緒に帰りましょう
あなたが帰るべき場所へ
そして、また明日
あなたの思い出の中を
一緒に歩きましょう
※自選詩集『支える側が支えられ、
生かされていく』より。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!