敵意ある国や競争相手国の利用を拒否する管制権力 第1,339号

 大陸国家と海洋国家の戦争は、大陸国家が

海洋進出という国家戦略を持つとき

に始まることになる。

 海洋国家の戦争目的は「商圏の獲得」であり

手段は制海権の獲得なのである。

 はるか数千年前の昔から人類は、大河川と

海洋のほとりで文明を築いてきた。

 フェニキア人は紀元前12世紀に、現在の南部

レバノンのティルスなどの沿岸諸都市を中心

として地中海の制覇に乗り出した。

 彼らはアフリカ北岸に沿って西に交易圏を拡大

し、紀元前814年には現在のチュニスの沿岸

に植民都市カルタゴを建設した。

 「軍隊ほどもうからないものはない。しかし、

軍隊がなければもっと儲からない」とは

ギリシャに残る伝承的な名言である。

 地中海の港湾都市は、フェニキア人が植民した

交易基地から発展したものが点々と存在して

いる。さらにギリシャの諸都市国家も

小アジアの沿岸に数多くの港湾

都市を建設した。

 港湾都市が要塞化されれば「海軍基地」になる。

 海は広いようだが、海上輸送には気象・海象や

海底地形・陸地地形の関係で船が航行する

「海路(シーレーン)」と航行中の船

が集まる「集束点」が存在する。

 「制海権」とは、この海路を安定的に利用し、

敵意ある国や競争相手国の利用を拒否

する管制権力である。

 別な言い方をすれば「商圏を守る権力」と

言える。当然のことながら海上交易に

依存しない大陸国家は、商圏や

制海権に関心が薄い。

 制海権を獲得し、維持する手段は2つある。

一つは強力な艦隊であり、他は基地である。

 海洋国家の国家戦略を考えるとき、ペルシャ

戦争は、東地中海の海洋覇権の帰趨が戦争

の行方を左右したという点で教訓が多い。

 この半世紀におよぶ戦争を通して、海洋国家

にとって海戦における勝利が歴史の転機と

なり、大陸国家にとっては陸戦の勝利

が歴史の転機になることが実証された。

 言い換えれば、海洋国家が大陸国家を滅亡させ

るような戦争は、大陸軍を持たない限り不可

能であり、反対に大陸国家が海洋国家を

滅亡させるような戦争は大海軍を持

たないかぎり不可能なのである。

 海戦は陸地に近いところで起こる。

 カルタゴの戦争目的は、「制海権の維持」で

あった。それ以上の野望はない。ところが、

もともと大陸国家であったローマ共和国

の戦争目的は、「シチリア島の占領」であった。

 「大陸国家と海洋国家の戦争は、大陸国家が

海洋進出という国家戦略を持つとき

に始まる」ことになる。

 海洋国家の戦争目的は「商圏の獲得」で

あり手段は制海権の獲得なのである。

 海洋国家の国防線は、「自国の領海線でもなけ

れば、大陸国家と海洋国家の海峡の中間線でも

ない。大陸側の港の背中にある」ことになる。

 海戦史の最高の教訓は、「強気と攻めの精神

が繁栄をもたらす」ということである。

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今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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