新型コロナ危機は新しい形の「戦争」だ 第 2,131 号

 競争メカニズムを形成するというよりも、戦争

の原因になった大資本の解体による日本の経済

力の弱体化が目的であった」(「第1章」より)。

 アフター・コロナの「戦後」において、日米欧

は中国共産党の独裁・統制主義の経済に対峙

すべく、自由主義による経済再生に全力

を尽くさなければならない。「100年

に1度」の危機を乗り越える方向性を示す。

 懸念すべきことは二点ある。一つは、日米欧

といった自由と民主主義に価値をおく経済圏

が没落してしまい、対して中国の国家資本

主義やその独裁的な権威主義が世界の

中で大きな比重を占めてしまう可能

性だ。要するに中国の覇権の危険性だ。

 もう一つは、中国発の感染症リスク

の再発である。

 日本については、まだ長く停滞感が強く残る

と予測されている。もともと新型コロナ危機

の前から、消費増税の影響で経済が減速

していたことが深刻な重石になっている。

 中国共産党という独裁体制の経済的威光が?

戦後?高まってしまうことは、我々の自由

世界にとってまさに脅威である。特に?

戦後?、中国の経済力が欧米よりも

増していくならば、おカネで顔を

叩かれてついていく国家、国際

機関、マスコミなどは増えて

いくかもしれない。

これもまた我々の自由を重んじる

世界の脅威である。

 ではどうすればいいか。経済学者の立場で

いえることは、一つだけだ。日米欧が経済

再生のために全力を尽くすことである。

 日本でも長期停滞の間、失業率と自殺者数は

密接に関係していた。政府と日本銀行が不況

を放置していると、失業率が下がらない。

社会的な居場所をなくした人たちが、

失望ゆえに自死を遂げてしまう。

 実際に「失われた20年」の間に、政府と日銀

の緊縮政策で、失われた人命は数万人に及ぶ

だろう。緊縮病の恐ろしさは明白だ。

 だがこの緊縮病は、政治家、官僚(特に

財務省、日本銀行)、マスコミ、財界

などでいまも勢力を維持している。

 仮にアフター・コロナの経済が、増税など

の緊縮政策一色になれば、日本経済はふた

たび「失われた30年」に逆戻りして

しまうだろう。新型コロナとの

「戦時」も重要だが、「戦後」

の経済対策も極めて重要なのだ。

 本書の主要なテーマは、この日本における

緊縮政策、もっといってしまえば日本社会

の脆弱化、衰退化をもたらす経済思想を、

特に占領期のGHQ(連合国軍最高

司令官総司令部)と当時の日本の

経済学者たちとの関係から再考察するものである。

 新型コロナ危機は新しい形の「戦争」だ。

 日本をはじめ世界の至るところで、国民が

日常生活を制限され、軍備への投資が活発

化するように、医療支援や人々の生活の

確保のために政府の重みが増している。

 田中秀臣『脱GHQ史観の経済学』

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  今回も最後までお読みくださり、

    ありがとうございました。感謝!

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