女性とは、妻とは、夫婦とはどうあるべきか
を語っていきます。
「夫を穢すことはおのれを穢すことですよ」
「子供には目に見えぬものを与えなされ」
「女子の」とタイトルにありますが、
凛とした女性がいてこそ、立派な男、家庭、
そして社会があることを納得することで
しょう。
さらに言えば、女性から見て男子は
こうあるべきだと暗に諭される、
男性にもまた必読の一冊です。
本書の中から、一部をご紹介します。
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美しい立ち居振る舞いをつくるコツ
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自分がどんな音を立てているか注意する。
しぐさを整えていくうえで、
これほど役に立った教えはありません。
お作法以前の美しい立ち居振る舞いを
身につけるコツとして、講座などでも
お伝えしているほどです。
武家の家庭教育として
欠かせないものに家事の躾が
挙げられることは『女子の教養』で
述べたとおりです。
年齢に応じて家の手伝いをさせられ、そこ
からさまざまなことを学ばされたものでした。
その際に母が口酸っぱく言っていたのが
「音を聴いてごらんなさい」
なのです。
お手伝い以外でも、歩く音、
食事をする際の音、ドアや襖、
窓や雨戸などあらゆるものの開け閉め、
物を置いたり取りあげたりする時の音、
ひいてはくしゃみや咳、あくびまで(!)。
許されたのは寝ている間の寝言やいびき
くらいです。なんと
口うるさいことかと思われるでしょうし、
実際、私の立てる音と母の小言と、
どちらがうるさいかというくらいでしたが、
やはり音というのは、それ
くらい神経を使ってしかるべきなのです。
というのも、聴覚というのは、想像
以上に人の心情に影響を与えるからです。
騒音が大きな事件に発展することなどは、
その象徴といえるでしょう。
音をできるだけ立てないように配慮する
ことによって何が起きるかというと、
「しぐさが丁寧になる」ということです。
歩き方、食事の仕方、物の受け渡し方、
ドアや襖の開閉の仕方など、礼法に則った
美しいしぐさというものがありますが、
それをひとつひとつ憶えているのも
なかなか大変です。
特に大人になってから始めるとなると、
慌ただしい日常生活の中で実践して
いくのは難しいものがあるでしょう。
形は形として憶えておいて、
普段は音に配慮することによって、
ほとんど失礼に当たらない程度の
丁寧さが備わってきます。
もちろん、しぐさを美しく整えるには、
後述する指先を揃えることなども
大切なコツなのですが、
大きなところでは「音を聴く」
これが何よりおすすめです。
まずはできるだけ大きな音を立てない
ように配慮することといたしましょう。
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武士の娘だった祖母の言葉55
『女子の武士道』
石川真理子
定価=本体1,400円+税
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!