僕は予感した。これは、かつて日本で
行われたことのない実験になる。
7000人以上の日本人が、2年間で英語を
マスターするなんてことが、本当に
実現できるだろうか。
僕は狂っているのかもしれない。しかし、
この実験を成功させることでしか、楽天
も、そして日本も生き残れないと思っ
た。さあ、実験開始だ。
なぜ楽天は社内公用語を
英語に変えるのか。
その理由をひと言でいえば、
世界企業は英語を話すからだ。
楽天のインド人と中国人の社員たちが、
わずか3ヶ月で日本語をしゃべれる
ようになっていたことだ。
どうして彼らはあんなに外国語
の習得が早いのだろう?
ビジネスはシンプルだ。モノを作る、
コンテンツを作る、サービスを提供
する、それに対して、お金を
払っていただく。
これがビジネスの基本である。
日本ローカルの情報、経験だけではなく、
英語を使って世界的な大局観を持つこと。
それによってこれまでとまったく異なる
レベルのビジネスが展開できるはずだ。
英語しか使えない環境
に一度、身を置くこと。
それが一番効力の高い英語
習得の方法だと思う。
英語で直接外国人とコミュニケーション
することで得られる恩恵は計り知れない。
このことを僕は身をもって感じていた。
僕の発想法や思考形態に関して、普通
と違うところがあるとすれば、それは、
幼い頃のアメリカ体験と、外国人
と触れる機会の多かった家庭
環境によるところが大きいのだろう。
楽天の英語化は西欧化ではない。
むしろ僕は、楽天の英語公用語化を、
日本文化や日本人の良い点を世界に
広めるきっかけにしたいと思っている。
日本人のチームワークの細やかさ、
客を歓待する「おもてなし」の
心は、世界に誇るべき長所だ。
日本で成長していくうちに自然に身
につけた、こうした美点を、英語を
使って、世界に伝えていくのだ。
グローバル化は日本の生命線。
日本人には勤勉さがある。
技術力も、デザイン力もある。
しかし決定的に欠けているものがある。
グローバルなコミュニケーション能力だ。
日本語と日本文化を大切にすること、英
語力を鍛えることはちゃんと両立する。
それどころか、日本の良さを世界に広
める手段として英語力が活用できる。
英語力を鍛えることは、日本を大切
にすることにつながるのだ。
小さい組織ほど、小回りが利く。
起業したばかりの経営者は、会社の
規模が小さいうちに、社内公用語化
し、グローバル化に備えておく
べきだろう。
年齢も若ければ若いほど有利だ。
2010年5月に英語化プロジェクトを
本格的にはじめるとともに、僕は
中国語の勉強をはじめた。
僕の中国語は、今は
まだ幼稚園レベルだ。
しかし、そのレベルでも、
かなり役立っている。
中国人に中国語で話ができるだけで、
相手の反応がこれまでとまっ
たくちがうからだ。
中国語の学習は、僕の脳にも
大きな刺激を与えている。
僕の頭の中には、社内公用語英語化
の次のプロジェクトがちゃんとある。
英語の次に覚えるべき言語だ。
中国語?いや、そうではない。
プログラミング言語だ。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!