世に「名著」と呼ばれる本があります。
その名前を聞けば、誰もが知っていて、
内容を何となく聞きかじっている。
いわゆる超訳ではなく、原文を忠実に訳しながら
も可能な限りわかりやすい現代語訳に置き換えて
いるため、大人はもちろん、中高生でも十分に
読破できます。
また、それぞれの本には読了のために
必要な目安時間も示しています。
【累計23万部】を突破した大人気シリーズ。
名作文学を何冊読んでいるかは、
大人に求められる教養のひとつです。
一度は読んでみたかった
日本の名著の醍醐味を
存分にご堪能ください。
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[これだけは読んでおきたい五大名著セット]
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【セット内容】
・武士道 (新渡戸稲造)
・学問のすすめ(福澤諭吉)
・代表的日本人(内村鑑三)
・五輪書(宮本武蔵)
・西郷南洲遺訓
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各書籍ならびに特典書籍の紹介は、
以下をご覧ください。
本日は、新渡戸稲造の名著『武士道』の
一部をお届けします。
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日本人はなぜ、
自分を「へりくだる」のか
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日本の礼法になっている習慣の中で、もう
一つ「とてもおかしい」ことをあげてみましょう。
日本のことを表面的に書いた多くの記述を読むと、
我が国におけるこの言い回しを、
文字面だけ見て誤解しているように思います。
だから多くの外国人は、そうした場合に接した
ときに、どう答えていいかわからずに困惑して
しまうのです。
これがどんな場面かといえば、
贈り物をされたときです。
アメリカでは贈り物をするとき、
受け取る相手にその品物を褒め讃えます。
一方、日本ではその品物を控えめにいったり、
あえて軽んじたりするのです。
アメリカ人の心情はこうしたものでしょう。
「これは素晴らしい贈り物です。
そうでなければ、
あなたに差し上げようなどと思いません。
素晴らしいものでない贈り物をしたら、
あなたを侮辱することになるのですから」
これに対して、日本人の論理はこうなります。
「あなたは素晴らしい人間です。
その素晴らしいあなたに対し、
どんな贈り物をしたって、
それに見合うものなどないでしょう。
ですから私があなたの足下に置くこの贈り物
は、品物のよしあしでなく、
私の誠意として受け取ってください。
どんな品物でも、それがあなたの価値に
見合っているなどといえば、あなたを
侮辱することになってしまうのですから」
この二つの考え方を並べると、そこには
よく似た考え方があることに気づくでしょう。
どちらも「とてもおかしい」ことなどでは
ありません。
アメリカ人は贈り物をするときに、
その品物のことをいう。
日本人は贈り物をするときに、
その精神のことをいう。
ただそれだけの違いなのです。
日本人の礼の意識は、私たちの振る舞いの
最も小さな部分にまで表れています。
だからといって、
その中の一番些細なことを取り上げて、
「とてもおかしい」と礼そのものを
批判するのは本末転倒でしょう。
食事をすることと、食事するときに
決められた作法を守ることと、
一体どちらが大切なのでしょうか?
中国の賢人はいっています。
「食の重き者と礼の軽き者とを取りてこれを
比せば、なんぞただに食の重きならんや」
「真実を語ることと、礼を重んじること、
どちらが重要なのか?」
という質問をすれば、
日本人はアメリカ人と正反対の答えをすると
いわれています。
この問題について述べるのはしばらくおき、
「誠実」と「真実」について取り上げていくこと
にしましょう。
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『武士道』
新渡戸稲造・著/夏川賀央・現代語訳
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1900年に米国で刊行され、
世界的ベストセラーに。
「なぜ日本には宗教教育がないのに、
道徳を教えることができるのか」
という知人からの問いへの答えを
まとめたのが本著だ。
武家に生まれた新渡戸は
その答えを武士道に見出すと、
武士道の源流から、誠や忠義などの徳目、
切腹や仇討ちまで、武士の道が詳述されている。
米国大統領セオドア・ルーズベルトも
愛読した一書。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!