2021/06/22 (火) 9:30
雑草を通して見た新・日本人論。戦国武将は
大事な家紋に雑草をあしらった。華麗な花や
勇壮な動物を描いた西洋とは明らかに
違っている。
日本人にとって雑草とは何か。雑草生態学の
権威が、斬新な視点から提示する新・日本人論。
「雑草のようなたくましさ」は
良い意味で使われる。
「あなたは、雑草のような人ですね」と言われ
ると、どこか褒められたような気になる。もち
ろん、「雑草」と言われて嫌な思いをする人
もいるだろうが、「あなたは、温室育ちの
人ですね」と言われるよりも、雑草と
言われたい人の方が多いだろう。
温室育ちの作物は、とても良い環境で大切に
育てられたエリートの植物である。しかし、
日本人はエリートであるよりも、雑草
であることを好むのである。
しかし、 「雑草」が褒め言葉に使われたり、
「雑草」と呼ばれて喜ぶのは、私が知る
限り日本人くらいのものだろう。
深い森の中を歩いているとき、何か
気配を感じることはないだろうか。
誰もいない森の中で、孤独に植物の調査を
していると、私は、森のどこかから、誰か
に見られている感じがすることがある。
この気配は、どこから来るのだろうか。
周りの木々や風に揺れる草花や、大き
な石に気配を感じることもある。
昔の人は、この感覚を神と感じたのかも知れ
ない。おそらくは、これが、ありとあらゆる
ものに宿る八百万の神である。それでは、
砂漠をさまようとき、人はどこに
神を感じるだろうか。
「大きな力に逆らわず、しなやかに受け流す。
そして、その逆境を力に変える」
これが雑草の戦略である。
その姿は、大きな変化を乗り越えてきた
日本人の姿をまさに連想させる。
雑草は踏まれたら立ち上がらないのである。
「踏まれても踏まれても花を咲かせ、実を
結ぶ」これが雑草の生き方である。
種子さえ残すことができれば、後のことは
何のこだわりもない。別に縦に伸びなけれ
ばいけないということもないのだ。
だから、雑草は縦に伸びたり、横に伸び
たり、伸び方も自由自在に変化させる。
日本人はしなやかな強さで、柔軟に
変化することができる。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!