アメリカの「保守主義者」たちがリベラル派
といかに戦い、政治の主導権を奪還したのか、
その経緯が詳しく描かれた本書は、「保守
主義者」たちの運動のバイブルなのだ。
同時に減税、規制改革、そして民間シンクタ
ンクがなぜ重要なのかを解き明かした政治
入門書でもある。一読すれば、恐らく
これまでとは全く違った政治との
かかわり方が見えてくるはずだ。
アメリカは、世界最大の軍事・経済大国だ。
その動向は、国際政治だけでなく、日本
の政治を大きく左右する。
よって強い関心を向けるのは当然のことだが、
意外なことに、日本人はアメリカ政治に
ついて知らないことが多い。
たとえば、日本にも自由民主党や立憲民主党、
日本維新の会などがあり、その主張は大きく
異なる。同様にアメリカもまた、一枚岩ではない。
共和党はどちらかと言うと、保守系で、減税と
規制緩和による経済振興や軍事を重視する。
その支持層は、中小企業の経営者や
熱心なキリスト教徒たちだ。
一方、民主党はどちらかと言うと、リベラル
系で、格差是正や環境といったテーマを重視
している。支持層は都市部のインテリ層、
黒人やヒスパニックなどのマイノリテ
ィー(少数派)、そして労働組合だ。
アメリカの保守派との議論は、驚きの連続
だった。何しろ先の日米戦争についても
「悪いのは、F・D・ルーズヴェルト
民主党政権だ」というのだ。
アメリカの「保守主義者」たちがルーズヴェ
ルト「民主党」政権を批判してきたのは、
対外政策だけではない。
民主党のルーズヴェルト大統領は1933年、
大統領に就任するや「ニューディール(新
規蒔き直し)」と称して「社会主義的な」
政策を次々と打ち出した。
大統領は二選までという慣例を破って、
ルーズヴェルトは戦時・有事を理由に
1940年と1944年の大統領選にも
立候補し当選した。
かくして4選、12年という長期政権の間に、
リベラル派の官僚・学者と巨大労組、そし
てマスコミによる「ニューディール連合」
によって、ワシントンは支配されてしまったのだ。
この「ニューディール連合」から政治の主導
権を奪い返すことが現代アメリカ保守
主義運動の目標であった。
その目標が曲がりなりにも達成されたのは、
1981年に誕生したロナルド・レーガン
大統領の登場によってであった。
江崎道朗・監修リー・エドワーズ著
『現代アメリカ保守主義運動小史』
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!