幕末、明治の人たちには人財と言える多くの
日本人が国を支え、文明国として一大飛躍
を遂げる推進力になりました。
そんな幕末、明治の偉人たちの人間力
はどこから来たのか。
本誌でお馴染みの渡部昇一さんが
その疑問に答えます。
────────[今日の注目の人]───
★ 人間には3つの教育が必要 ★
河野 克俊(統合幕僚長)
×
渡部 昇一(上智大学名誉教授)
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【河野】
渡部先生は幕末、明治の人たちの人間力って
どこから来たとお考えですか。
【渡部】
それはやっぱり、武士道ですよ。
平和な徳川時代になると徒食する
人間にすぎなくなる。
それで大部分の武士は「俺たちは
立派でなければならない」という
矜持を養う修業をした。
だから、「四書五経」などの書物を
読んで勉強し、剣術の修業に
打ち込んだわけです。
要するに、修養の精神が満ち
溢れていたんですね。
【河野】
武士道にはいろんな徳目があるわけ
ですけど、私は武士道を突き
詰めていくと、
「卑怯な振る舞いをしない」
ということだと思うんです。
よく隊員にも
「卑怯な振る舞いを絶対にするな。
それが自衛官だ」
と言っています。
例えば、弱い者いじめをするなとか
大事な場面で逃げないとか。
【渡部】
最近の自衛隊の災害支援活動を見て
いても感じることですが、いまの時代、
修養の精神を最も有しているのは、
自衛官でしょうね。
昔から人間は頭と心と腹、3つの教育が
必要だと言われています。
いまの時代の人たちは、みんな受験
勉強をやっていて頭はいい。
非常に優しい心も持っている。
ところが、ガッツがない。
昔の武士にはガッツがあった。
岡本綺堂の『半七捕物帳』、これは
江戸時代の町人の犯罪の話が
ほとんどですが、その中に2回くらい
武士の話が出てくるんですね。
例えば、町に熊が出没して町人が
大騒ぎしている時に、武士が通り
かかって、その熊を斬り殺して
スタスタと行ってしまった。
全く無名の武士ですけどね、町人
なんかとは全然腹の据わり方が
違うんです。
【河野】
別の言い方をすれば、スピリット
ですよね。
ここの教育が戦後疎かにされたん
じゃないかと思うんです。
しかし、これからの時代、特にこの
スピリットが必要になってくるん
じゃないでしょうか。
【渡部】
頭がよくて、心が優しくても、
それだけではダメで…
※「体系的な知識よりも断片的な
言葉のほうが圧倒的に強い」
そう語る渡部さんが支えにしてきた
言葉など、たくさんのよき言葉に
満ちた当対談をぜひお見逃しなく!
『致知』2016年7月号
特集「腹中書あり」P12
⇒ http://online.chichi.co.jp/ext/teiki.html
今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。 感謝!