日本で初めて看護師として「独立開業」を
果たし、在宅看護という道なき道を
切り開いてきた村松静子さん
(在宅看護研究センターLLP代表)。
これまで数千人に上る依頼者の
生と死に向き合い続ける中で、2011年に
フローレンス・ナイチンゲール記章を受章され
ました。村松さんのお話に、
幸せな最期を迎えるヒントを学びます。
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(村松)
2011年には、よりよい在宅看護を求めて
認定協会を立ち上げ、「メッセンジャーナース」
の取り組みも始めました。
自分の意思が周囲にうまく伝わらない
患者さんの代わりに、医師やケアマネジャー、
在宅医などと連携し、ご本人の希望を叶える
ために動くのがメッセンジャーナースです。
この活動は、いまでは36都道府県に広がり、
約130名のメッセンジャーナースが
患者さんと医療関係者の懸け橋となっています。
そして、これまでの在宅看護の体験から
浮かんできたのが「自主逝(じしゅせい)」と
いう言葉です。
これは私の造語ですが、誰かの指示ではなく
自分の意思で死と向き合い、最期まで自分で
行動しながら逝くことを意味しています。
人は皆「死」というものに直面した時、
それまで経験したことのない
やり切れなさや孤独感を味わい、
感情のコントロールができなくなります。
しかし最期に辿り着く答えは共通しています。
「せめて最期は私らしく逝きたい」と
いうことです。ただ、自分の
希望を叶えて逝くことができる人は、
ほんの僅かなのがいまの日本の現実です。
確かに医学は進歩しましたが、
命を引き延ばすだけで、
かえって本人や家族の苦しみを
募らせてしまうことがあります。
「最期は家で」と願っていたのに、
治療効果を期待してその時期を
逃してしまうこともあります。
それを当たり前として受け入れてしまっては、
決して自分らしい逝き方はできません。
この21世紀は、誰かに従ったり、
管理されて生きるのではなく、
一人ひとりが自分自身で人生を選択し、
楽しみ、努力し、死とも向き合い、
最期まで自分らしく生きていく
時代なのではないでしょうか。
ですから、最期を迎える時に
自分はどのような場所で逝きたいのか、
誰に傍にいてほしいのか、
元気なうちからイメージし、
家族ともしっかり話し合っていてほしいのです。
人生の最期まで自分らしく
生きられるかどうかは、
病気の種類や程度ではなく、
その人の意思次第なのです。
※本記事は『致知』2019年12月号特集
「精進する」より一部を抜粋・編集したものです。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!