本当の幸せとは当たり前のことがいかに素晴らしいかに気づくことです 第 2,512 号

文学博士・鈴木秀子先生が小説や詩、
随筆を通して人間の生き方を紐解かれる
『致知』連載「人生を照らす言葉」は
読者の皆様から大きな反響をいただいています。

最新号では、志賀直哉の短篇『朝顔』を通して、
そこから学ぶことのできる人生の真理を
伝えられています。
その内容の一部をご紹介します。

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小説の舞台は静岡県の熱海です。「私」(主人公)
は母屋から少し離れた山の中腹に
小さな掘っ立て小屋の書斎を建て、
ゆくゆくは茶の木の生け垣をつくるつもりで
前の傾斜地に茶の種を蒔きます。
茶の木が生育し生け垣ができるまでの間、
百貨店で買った幾種類かの朝顔を植えることに
しました。


「私」は朝早く目覚め、
家族が起きるのを待って
書斎から母屋に向けて山道を下ります。
それまでの時間は、書斎から
見える景色を眺めるのが日課でした。

(以下、小説の引用)
私の家は母屋も景色はいいが、
書斎は高いだけに視野が広く、
西南の方角からいうと、天城山、大室山、
小室山、川奈の鼻、それと重なって新島、
川奈の鼻を一寸離れて利島、
更に遠く三宅島までも見える事がある。
然しこれは余程よく晴れた日でないと見えず、
一年に二三回幽かに見える程度である。

一見すると、何気ない情景描写のように思えます。
しかし、ここで注目しなくてはいけないのは、
見慣れた当たり前のような景色を
「私」が丁寧に丁寧に観察していることです。

このことは、梅雨やコロナによる退屈さ、
窮屈さで心がなかなか晴れない
いまの季節にも大切なことです。

小さな草花は私たちの身の回りに
当たり前のように咲いています。
しかし、心の中が悩みや妄想、仕事のことで
いっぱいになっている時は、目の前にあっても
決して目に留まることがありません。

その美しさ、素晴らしさに気づかないで
いるのは、実にもったいないと思うのです。
時間をつくって小さな草花などに意識を向ける
ることで目の前の景色を明るく感じること
でしょう。


私たちは幸せや喜びと聞くと、外部から何らか
の刺激がもたらされることをイメージします。

例えば、海外旅行に行く、宝くじが当たる、
入試や就職試験に合格するというのがその類い
です。

反対に、それがうまくいかなかったりすると
不幸せだ、失敗だと言って落ち込んでしまいます。

しかし、真の幸せとは、
そういう出来事に支配されません。
本当の幸せとは、当たり前のことが
いかに素晴らしいかに気づくことです。
静かに自分の心を落ち着かせて、何気ない
自然の情景や出来事に意識を向ければ、
そこに何らかの発見があるでしょう。

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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