過去に選手を率いた9度のオリン
ピックで、すべてメダル獲得に
成功してきた井村雅代さん。
世間では“鬼コーチ”と評される
井村さんの指導法から、叱る
コツを学びます。
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井村 雅代
(シンクロナイズドスイミング
日本代表ヘッドコーチ)
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いま、スポーツ界で叱る教育の代表と
いえば、すぐに私の名前が挙がります。
でも、私の中では叱っていると
いう意識は全くありません。
下手だから下手、ダメだからダメ。
本当のことを言っているだけなんです。
そして本当のことを言ったら、
私は必ず直す方法を言います。
一つの方法だけでは直りませんから、
今度はこうやってごらんと、どん
どん次の直し方を言う。
そして直ったと思ったら、「それで
いいよ」とちゃんとOKを出すんです。
でも取材に来られるマスコミの方は、私
が怒っているところばかり撮るから、あ
あいう恐ろしい映像になるんです(笑)。
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ここで皆さんに叱るコツをお教えする
ならば、叱る時はまず現行犯
で叱ってください。
いまのそれがダメなんだって言われ
たら、人間は反省します。
「君、この前も同じことを言ったよ」
と古いことを持ち出してはいけません。
これをやられると、いまやったこと
への反省が薄れてしまうんです。
もう一つしてはいけない
のは、しつこく叱ること。
それは本人の自己満足で、聞いている
人は「もう分かったよ」って嫌気
が差してくるんです。
現行犯で叱ること、古いことを持ち出
さないこと、しつこく叱らないこと。
この三つの叱るコツを
ぜひ覚えてください。
そして、叱る時は本気で
かかってください。
相手がどんなに小さなお子さんでも、
自分に本気でぶつかってくれている
かどうかは分かるんです。
中途半端に叱るくらいなら、最初から
知らん顔をしているほうがましです。
叱るとは、いま自分の目の前にいる
この人は、絶対にこのままでは
終わらないんだ。
いまの状態よりも必ずよくなるんだと、
その人の可能性を信じることなんです。
だから本気でぶつかり、よくなるまで
あの手、この手で引き上げようとする。
叱るとは、その子の可能性を
信じるということなんです。
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『致知』 2018年1月号
特集「仕事と人生」P10
今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!