日本を代表する建築家・安藤忠雄さん。
多くの人々を惹きつけてやまない、
その比類ない建築が世に知られるまでは
〝負け戦〟の連続だったといいます。
なぜ度重なる逆境を乗り越えてこられたか、
自身の勝負哲学を語っていただきました。
※対談のお相手は、ウシオ電機創業者・
牛尾治朗さんです(当時)。
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〈牛尾〉
あなたは負けた時に、
なぜ負けたかということを徹底的に分析して
次に生かしているそうですね。自分が
なぜ負けたか、相手のどういうところが
よかったかというのを分析して、努力して
それを自分のものにしていると。そういう
ところはすごく素晴らしいと思うんです。
〈安藤〉
コンペには日本はもちろん、
パリやニューヨークやロンドンでもよく
するんですけど、美術館なんかの公共建築は
ほとんどコンクール・コンペなんですね。
ですから大体200人くらいの参加者の中から
経歴や実績で10人くらいに絞って、
その人たちに絵や模型を作らせて競うわけですが、
まぁよく負けるんです。
けれども、負けてから相手の作ったものを研究
すると、やっぱり相手のほうがわれわれ以上に
いろんなことを考えていることに気づくわけです。
相手に比べたらやっぱり努力も足らん、
創造力も足らん、次はこの部分は
こういうふうにうまくやらなければいかんなと。
そういうふうに、いろんなことに気づいて少し
実力がつくけれども、次のコンペでもまた負ける。
また少し実力がついて、それでもまた負ける。
だけどやっていくうちにいろんなことを覚えて、
そのうちに勝つわけです。
ところが、勝つと当然相手の研究はしないですね。
これはまずい。勝った時にも相手のことを
研究すればもっといいわけですけれども。
〈牛尾〉
なるほど、負けた相手の作品も研究しろと。
〈安藤〉
そうです。だけど大体しない。勝っても負けても、
相手を研究して自分たちのまずかったところを
集めていくと、次の機会にもっと役立つんです。
(※本記事は『致知』2003年11月号
特集「仕事と人生」より一部を抜粋・編集
したものです)
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ありがとうございました。感謝!