サンバで踊り、カーニバルに舞う…FIFAワールド
カップ開催で踊り、リオ五輪開催決定に舞う…
経済発展で踊り、政治と社会の変化に舞う…。
私たち日本人にとっては、地球の裏側の国ブラジル。
サッカー、コーヒー、アマゾン川、日系移民…
さまざまなイメージはあるのに実体をつかみ
にくい南米の大国の、真の姿に迫る!
サンバの奇跡。
ブラジルといえば真っ先にイメージされる
サンバの強烈なリズム。
しかし、リオデジャネイロで生まれたこの国民的
音楽が、奴隷の文化として蔑まされていたと
いう事実は、あまり知られていない。
「パンがなくてもサンバがあれば生きていける」
人々はそういってサンバを糧にして人生を謳歌する。
1930年代、ブラジルでは革命で樹立した
ヴァルガス政権が、猛烈な勢いで国威
発揚の政策を進めていた。
これまでバラバラだった国をひとつにまとめる
ために強力な国家イデオロギーが求められた。
「ブラジル的なるもの」の誕生が切望されていた。
人種や文化が混合するこの国で、このとき初めて、
「混ざり合うことがこの国の強さ」「入り交じる
社会こそが国家の礎」という考えが浮上する。
アフロ・ブラジル文化が突然、国家の
シンボルにすえられた。
そしてその最大の象徴として選ばれた
のが、サンバだった。
人々にとってはビーチは裏庭であり社交場であり、
男女が出逢い、愛を語らう場所でもある。
ときにジムやサッカーフィールドに早変わりする。
バーやレストランにもなる。
リオデジャネイロでは、ビーチは娯楽や
社交にとどまらず、人々にとって
の自己表現の舞台でもある。
そもそも肉体美への賞賛は、この国の人々の
血に脈々と流れているようだ。
モデル大国ブラジル。
美への飽くなき追求は、ブラジルを世界一の
モデル大国にも押し上げている。
「ブラジルの美」は海外でも高い商品価値を
持ち、トップモデルを輩出するモデル大国
として欧米を席巻している。
「ブラジリアン・ドリームといったら男はサッカー
選手、女はトップモデルになること。
一文無しでもスーパーモデルになれるのが
ブラジルだ」といわれている。
緻密な搾取の構造。
南米大陸のおよそ半分の面積を
占める広大なブラジル。
そこはアマゾンの密林やパンタナールの大湿原
など多様な大地が広がっている。
その肥沃で変化に富んだ大陸は、かつて征服者
であったポルトガル人の欲望を刺激し、莫大
な富をかれらにもたらしてきた。
「白い金」と呼ばれる砂糖は、かつて
高い商品価値を有していた。
「白い金」に注目したポルトガル人はサトウキビ
生産を植民地開発の柱にすえた。
開拓当初から領土をいくつかに分割し、豪族が
統括する地方分権政治がとられた。
豪族たちは広大な土地を通じて富の蓄積をはかり、
何代にも渡ってこれを世襲した。
1822年、ポルトガルから独立を果たしたブラジル
だが、それは一般市民による市民革命ではなかった。
支配階級による、政治や市民を支配する
技術や意識はますます強固となった。
わずかな数の人間だけが莫大な富を占有する
ブラジルの負の遺産が形成された。
ブラジルの大統領クビチェックは、
大きな野望を抱いていた。
それは200年前から持ち上がっていながら
誰ひとり実現できなかった首都移転計画だ。
海岸線に巣くった植民地時代の亡霊たち
から民衆の手に国を取り戻したい。
そのために旧勢力の息のかからない内陸部に新しい
政治と経済圏をつくることを思いたった。
現在の首都ブラジリアだ。
17世紀後半にミナスジェライス州で
起こったゴールドラッシュ。
当時、ブラジルは世界の金の6割を産出した。
これを統治するポルトガル王朝は
巨万の富を独占した。
ブラジルの大都市圏の発展にも目を見張るものがある。
とりわけサンパウロは南米最大のメガシティ
としてブラジル経済を牽引している。
田中克佳
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今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!