米国の共和党支持者は温暖化危機説がフェイク
であることをよく知っている。議会でもメディ
アでも観測データに基づいた合理的な議論が
なされている。しかし日本はそうなってい
ない。のみならず強固な利権がそこかし
こにできてしまった。省庁は各々の
温暖化対策予算と権限を持っている。
その補助金に群がる企業がある。研究者は
政府予算を使って温暖化で災厄が起きると
いう「成果」を発表する。メディアは
それをホラー話に仕立てて儲ける。
この帰結として日本の国力は危険な
までに損なわれつつある。
従前は、地球温暖化問題といえば、環境の
関係者だけに限られたマイナーな
話題にすぎなかった。
だがここ1,2年で状況は一変した。急進化
した環境運動が日米欧の政治を乗っ取る
ことに成功したからだ。
今や環境運動は巨大な魔物となり、自由諸国
を弱体化させ、中国の台頭を招いて、日本と
いう国の存在に関わる脅威になっている。
菅義偉首相が2020(令和2)年末に「日本は
2050年までにCO2(二酸化炭素)排出ゼロ
を目指す」と宣言して以来、あらゆる省庁、
企業、政治家がこれに同調している。
CO2の発生源となるのは石油、天然ガス、
石炭などの化石燃料であるが、これは工場、
オフィス、家庭、病院、レストランなど、
あらゆる所で利用されている。
CO2ゼロというと、少し考えただけで、
疑問は多々湧いてくる。
温暖化対策などしている間に、中国に負けて
しまうのではないか?アメリカも温暖化対策
に本腰を入れているというが、近いうちに
また止めてしまうのではないか?テレビ
や新聞は政府の言っていることを垂れ
流しているだけではないのか?日本
の製造業が滅びないためには、
どんな戦略が必要か?
本書は、ファクトベースでこういった疑問に
答え、強力な同調圧力を伴って流布される
「CO2ゼロ」プロパガンダのフェ
イクぶりを暴露するものだ。
個人的な名誉とか私利私欲の点で言えば、
「CO2ゼロ」という政策に水を差す
のは全く愚かなことである。
おとなしく同調しておけば、良い身分の御用
学者として安穏と暮らすことができる。
だが筆者はそうしない。
なぜなら「2050年CO2ゼロ」などという
極端な政策は、科学的にも、技術的にも、
経済的にも、人道的にも間違って
いると思うからだ。
杉山大志『「脱炭素」は嘘だらけ』
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!