ビジネスマンに絶大な人気を誇る漫画「島 耕作
シリーズ」。連載開始から37年が経ち、 累計
発行部数は4400万部を突破したといいます。
本誌「二十代をどう生きるか」では、 作者の
弘兼憲史さんがご自身の原点について
話されています。
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(弘兼)
日本の漫画界を牽引してきた手塚治虫先生、
藤子・F・不二雄先生たちがトキワ荘に
集って漫画を描いていた頃、少年時代
を過ごした私は先生方の漫画の読み
手第一号世代でした。 漫画に夢中
になり、小学生の頃から 漫画家
になりたいと夢を抱くようになります。
プロ野球選手、パイロットなど多くの子供たち
が描く夢のうち、残念ながら九割は 叶わない
のが現実である中、私が漫画家とし て半
世紀近くも活動を続けることができて
いるのは、本当にラッキーだとしか
言いようがありません。
人生には様々な分岐点がありますが、私の
73年の歩みを振り返ると、自分の判断が
正しかったというより、様々な出逢い
に 支えられてきたのだと感慨を深くします。
私のライフワークである「島耕作シリーズ」
はもうすぐ38年目を迎えます。この漫画は
私が新卒で入社した松下電器(現・パナ
ソニック) での3年間の勤務経験が
基になって生まれたもの で、日本
経済や企業内部をリアルに描い
ているのが特徴です。
主人公の島耕作が勤める初芝電器産業の広告
宣伝部は私が働いていた販売助成部が モデル
ですし、初芝電器の会長は松下幸之助 さん
のお顔に少し似せて描かせていただきました。
そもそも、漫画家に憧れていた私が松下電器
に入社したのには理由があります。 いまほど
漫画家という職業が確立されて いなかった
時代、中学生になると現実を 知り、漫画
家の夢を一度諦めました。
そして絵を描く特技を生かした仕事に就こう
と考え、宣伝や広告関連の職を志望し、 宣
伝の御三家〟と呼ばれていたサントリー、
資生堂、松下電器の中で、最も早く
採用通知をいただけた松下電器
に入社したのでした。
その頃、松下幸之助さんは会長から相談役に
なられるタイミングで、平社員の私は当然
直接お話しできる身分ではなかったもの
の、本社勤務だったことが幸いし、廊
下で何度かすれ違う機会に恵まれました。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!