家庭教育の立て直しが急務である現在、徳性
を磨き上げる武士の教育は恰好の手本とす
ることができる、と著者は説きます。
江戸時代中期の経世家・林子平が記した武士
の教育書『父兄訓』を繙きながら、父親と
は、家庭教育とはいかにあるべきが
具に語られています。
「孝・悌・忠・信・勇・義・廉・恥は人の
土台となりと知るべし」「人心は活物で
あると受け入れよ」「『物知り』に
なるような学問はさせるな」など、
本書から子供の徳性を養うため
の深い知恵が得られるはずです。
「人の善悪や、誠実か不誠実かということは、
生まれつきによるものではない。ひとえに
父兄の教訓・育て方によるものだ」父性
の喪失が叫ばれる現代にこそ、子平
のこの言葉は重く受け止められ
るべきでしょう。
徳性を高める教育、今でいう人間力を磨く教
育がもっとも施されたのは武士階級だった。
武士の教育というと藩校というイメージが
あるかもしれない。しかし藩校で学ぶに
は、それに相応しいレベルの人間性
と能力がなければならない。
まず第一に家庭教育があり、その次の会津
の什(じゅう)や、薩摩の郷中教育といっ
た集団教育がある。そこで徳性と極め
て基本的な技能を身につけたうえ
で、ようやく藩校に入るのだ。
とりわけ家庭教育は重要とされた。そして
現在、もっとも危機的状況にあるの
も、まさに家庭教育である。
家庭教育の立て直しが急務である現在、
徳性を磨き上げる武士の教育は格好
の手本とすることができる。
武家の基本教育は「人物をつくる」。
武士の世は遥かな昔となった。しかし今
なお「サムライ」という言葉は生き続
け、しばしば「武士道」がとりあげられる。
「あの人はサムライだ」と評される際、単
なる褒め言葉ではなく、一段上の敬意が
含まれているのが感じられる。
武家の教育は、人格形成。武道でいわれる
「礼に始まり礼に終わる」は、武家の教
育そのものということができる。
本気の子育ては、男を上げる。
読書、手習い、運動は親みずからまず行え。
日本の礼を心得よ。
茶の湯、能狂言の2つは、日本の大礼である。
そこからしっかり学べ。余暇があれば詩文
や楽器、絵画などの諸芸も習え。
石川真理子『武士の子育て』
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!