ドナルド・トランプは、1980年代に
「トランプ・タワー」「トランプ・
プラザ」などの大規模開発を
次々に手掛け、「アメリカ
の不動産王」として名を馳せた。
一代で巨万の富を築いたその成功の裏
には、大胆な発想と緻密な計算、そ
して粘り強い交渉力があった。
市当局や銀行との折衝、提携先やライバ
ル企業との攻防などを生々しく描き、全
米ミリオンセラーとなった初の著書。
私は金のために取引を
するわけではない。
金ならもう十分持っている。
一生かかっても使い切れないほどだ。
私は取引そのものに魅力を感じる。
キャンバスの上に美しい絵を描いたり、
素晴らしい詩を作ったりする人がいる。
しかし私にとっては取引が芸術だ。
私は取引をするのが好きだ。
それも大きければ大きいほどいい。
私はこれにスリルと喜びを感じる。
私の取引のやり方は単純明快だ。
ねらいを高く定め、求めるものを手に
入れるまで、押して押して押しまくる。
私は物事を大きく考えるのが好きだ。
子供のころからそうしてきた。
どうせ何か考えるなら、大きく
考えたほうがいい。
私にとってはごく単純な理屈だ。
大抵の人は控えめに考える。
成功すること、決定を下すこと、
勝つことを恐れるからだ。
これは私のような人間には、
まことに都合がいい。
大きく考えるためのカギは、
あることに没頭することだ。
抑制のきく神経症といってもいい。
これは起業家として成功した
人によく見られる特質だ。
彼らは何かにつかれたように、何かに
かりたてられるようにある目的に向
かって進み、時には異常とも思
えるほどの執念を燃やす。
そしてそのエネルギーを
すべて仕事に注ぎ込む。
市場に対する勘の働く人
と働かない人がいる。
たとえば、スティーブン・スピルバーク
はこの勘を持っている。
スルベスター・スタローンを批判するひ
ともいるが、彼の実績は認めるべきだ。
41歳という若さで、ロッキーとランボー
という、映画史上に残る偉大な人物像
を2つも作りあげたのだから。
彼はいわば磨いていないダイヤモンド、
つまり勘がすべてという天才である。
彼は観客が何を望んでいるかを心得て
おり、それを提供する。
私にもそのような勘がある、
と自分では思っている。
だから複雑な計算をするアナリスト
はあまり雇わない。
最新技術によるマーケット・
リサーチも信用しない。
私は自分で調査し、
自分で結論を出す。
何かを決める前には、必ずいろいろな
人の意見を聞くことにしている。
私にはこれはいわば反射的
な反応のようなものだ。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝