イギリスのEU離脱で揺れるヨーロッパ、泥沼
化する中東情勢、「イスラム国」の脅威、世
界に広がるテロ・難民問題、覇権国家の
思惑、宗教・宗派間の対立…
複雑に動く国際情勢を読み解くには、いま
「地政学」の知見が欠かせない。各国イン
テリジェンスとのパイプを持ち、常に
最新の情報を発信し続ける著者が、
現代を生きるための基礎教養と
しての地政学をレクチャーする。
世界を動かす「見えざる力の法則」の全貌
を明らかにする、地政学テキストの決定版!
シンクタンクでは、最悪情勢分析
というものをやる。
これは、ロシアでもイスラエルでのインテ
リジェンス機関でも同じ。
荒唐無稽な話ではなく、現実的に今、最悪
の事態としてどういうことが想定し
得るかを徹底的に予見する。
時代が変わっても、変わらないのが地理。
三次元で地理が読めるドイツ人。
「ドイツ人の地図好きは、ずっと
昔から有名だった。
ことにその戦争地図のやたらに多いこと
が、しばしば物笑いのたねになった。
しかし英米両国人のなかで、過去一世紀間
ドイツの国民教育において地図がはたした
役割の重大さに気が付いた者が、はた
してどれくらいいるだろうか。
事実、さまざまな種類の地図はドイツ文化
の重要不可欠な構成部分であり、あらゆる
教育を受けたドイツ人は、いっぱしの
地理学者になっていた」(マッキンダー)
ドイツ人だけじゃなくて、チェコ人もポーランド
人もロシア人も地図をよく読むことができる。
ほとんどの日本人は地図を
二次元でしか読めない。
ところがドイツ人たちは、地図のいろんな
記号を見ただけで、「ここは山だ」「ここ
は果樹園だ」「ここは発電所で送電線
が張ってある」というように、そこ
にあるものが映像で浮かんでくる。
それは、小学生のころから地図読みの
教育を受けているから。
北洋航路の鍵を握るのが日本。
日本がロシアとの関係を改善するなら、日本
が北洋航路についてロシアと協力体制を
構築することが非常に重要になる。
ベーリング海を抜けて、宗谷海峡、津軽海峡
を通らないといけないということになれば、
日本がへそを曲げただけで、北氷洋
ルートは使えないことになる。
日本と喧嘩をすると、日本は「海峡封鎖をする」
あるいは「臨検する」と言うかもしれない。
こういうことになったら、
北氷洋ルートは使えない。
それだから北洋航路を開設するということは、
同時に北方領土問題の解決につながるわけだ。
おそらく安倍政権はこの考え方を
引き出しに入れていると思う。
民族を形成する上で決定的に
重要なのは教育だ。
民族語で自分たちの教科書をつくり、自分
たちの民族から見た場合の歴史はどう
なのか、地理はどうなのかを学ぶ。
あるいは偉人伝などをたくさんつくって
読み継がれるようにする。
それによって「われわれは○○人だ」
という意識をつくり、常にそれを維持
するためのメインテナンスを
しつづけなければいけない。
母語で教育することの重要性。
中東で民族の形成に成功したところは、
イスラエルである。
我々は徹底して日本語で教育すればいい。
仕事で英語が必要となったら、合理的な
プログラムを組み、必要なレベル
まで英語力をつける。
日本語による情報伝達をおろそかにする
ことは、かえって社会の弱体化につながる。
これはイスラエルとシリアの違いを
見ればよくわかる。
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今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!