「日本の悲劇」が近づいている―日米
経済戦争を基軸とする国際経済環境は、
いやがうえにも厳しく、日本経済の
破綻は目前に迫っている。
危機管理の方法とは?組織管理の極意とは?
希有の天才政治家田中角栄の「現場報告」
を通じて、常勝の戦略戦術を抽出
重要人物の発言を分析し、動向を読む。
田中角栄は、国会議員がいつ、いかなる
ところで、どんな発言をしたかを、瞬時
にしてキャッチできる情報網を
あまねく張ってあった。
これらの発言を分析、政局動向
を読みとっていた。
人脈&情報網があればすべてが読める。
ある側近議員は次のように語る。
「いわば一般情報ではない独自の
情報網ということでしょう。
この場合、独自の情報網とは結局は
田中さんの広大な人脈によるもの
といってもいい。
元気な頃は、新聞社の幹部と定期的に懇
談会をやってはマル秘情報をとっていた。
全国津々浦々には田中シンパの県議、
市議などの地方議員、同じく地方
経済界の有力者などの情報網も
完備されていたといっていい」
闘争にはシナリオが不可欠である。
「日本列島改造論」作成過程に
みる官僚の使い方。
この「改造論」は、ときの自民党都市
政策調査会の会長だった田中が音頭を
とり、「都市政策大綱」としてまと
めたものが下敷きになっている。
田中の、これにかける意気込み
は大変なものであった。
当時、一千万円の自費を投じ、調査会の
メンバーに派閥を超えての人材を集めた。
この会議で出た意見、議論を最終的に
まとめたのは、早坂茂三ら私設秘書で
あったが、ここまでの間につねに
官僚組織が入り組んでいる。
この原案は、次いで大蔵省の主計局、
主税局、理財局に回されて数字的な
裏付けの吟味を受け、非公式に
了解をとったうえで、やはり
官僚政治家である愛知揆一
らのOKをとった形で
出来上がっている。
田中の重要政策の形成過程は、まず高級
官僚の助言があり、各省庁からのデータ
を駆使し、その上で信用できる身内と
しての私設秘書が、まとめ上げると
いうのがパターンであった。
法律をつくることで新たな人脈を築いた。
そして田中人脈の拡大がまた
法律をつくっていった。
田中はこう語っている。「私は法律や
予算や制度のコンサルタントだ。
法律というものはものすごく面白い
もので、生き物だ。
使い方によって、変幻自在、法律を知ら
ない人間にとっては、面白くもない
一行、一句、一語一語が、じつは
大変な意味を持っている。
すごい力を持っている。
生命を持っている。
壮大なドラマが、その一行一句
に込められている。
それを活用するには、法律に熟知
していなければならない」
高い動機があってこそ人はついてくる。
組織というものは、指導者の思想、
哲学、それなりの高い動機が
あって初めて機能する。
経営でいえば、これがあって
初めて部下が動いてくれる。
思想、哲学、高い動機とは、これは
また物事の方針と置き換えてもいい。
経営でいうなら、これは
確固たる社是社訓である。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!