都議会のドン・内田茂は表舞台に姿を見
せない都政の陰の実力者として知る人ぞ
知る存在だったが、都知事となった
小池百合子の敵として、初めて
国民的に注目されるようになった。
過去の都知事から見た東京都議会におけ
る内田の役割とは、議会運営を熟知し、
国との強いパイプ役となることだった。
都知事が都政の頭脳なら、内田は都政
の心臓部といっても過言ではない。
内田は、彼自身がリーダーシップを
発揮するタイプの政治家ではない。
議会のポストや予算編成、国とのパイプ
役という立場を武器に、調整役に
徹してきた政治家である。
2016年8月に都内のホテルで開かれた
内田の政治資金パーティーには、都連
関係者だけでなく、政権幹部も駆け
つけ、菅義偉官房長官が「私は
内田先生を心底尊敬申し上
げています」と持ち上げた。
内田は区議時代から数えれば、40年
以上も都政に関わっているのである。
現在の都庁幹部の新人時代から知って
いて、どこの部署の誰に話を通せば
何かできるかを熟知している。
都議会各会派の勢力の栄枯盛衰をつぶさ
に見てきて、党派を超えた人脈もある。
都議会自民党の最年少議員で、元テレビ
朝日のアナウンサーである川松真一朗
は、内田についてこのように
人物評を語っている。
「僕から見ていると、お茶を飲んでいる
お爺ちゃんという感じ。誰かを怒鳴っ
てる姿とか見たことないし、、、」
また、川松の「内田は都政の百科
事典」という評も面白い。
確かに、議会制度や条例や法律を熟知
していることは、陳情の有効な解決策だ。
私は、ドン・内田のことを考えながら、
全国の地方議会でレジェンドとして
語り継がれる「北関東のドン」
こと山口武平のことを思い出していた。
茨城県議だった山口は、県会議員を
14期55年間務め、そのうち22年
間は県連会長として県内最大
会派の自民党を率いて、
長きにわたり茨城県政を支配した人物だ。
いわゆる「ドン」のイメージに違わず、
ドン・山口もつくばエクスプレス、東
関東道、北関東道、圏央道といった
茨城のビッグプロジェクトには
深く関わっていた。
こうした山口の権力の下地となったのが、
地元紙の会長を中心に結成された、ゴル
フの愛好会「木曜会」といわれている。
県内の建設業者を中心に、さまざまな
業種の経営者が集まり、公共事業の
利害調整を行っていたという。
2010年、山口が政界を引退して以来、
茨城県の自民党は圧倒的な得票数を
誇る保守王国でありながらまと
まりを欠いた分裂状態にある。
これでは総理大臣を輩出する
のはしばらくムリであろう。
結局のところ、清濁併せ呑むドンの
存在が、リーダーの強さにつながる。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝