落語黄金期と言われた三越演芸会を彩った天才
落語家12人の名人にスポットをあて、極めて
貴重な名人直筆の「感どころ」(梗概)から、
いかに名人達の至芸が演じられたのか
を掘り起こします。
昭和30年~40年の落語全盛期においての不出
の噺家たちが残したこの直筆の「感どころ」
は、名人達の芸の裏側に隠された、噺の
仕立ての記録資料として初めて紹介
されることになります。
直筆の「感どころ」には、現名人が、先代の
噺家が守り演じ続けた落語とは違った観点、
自分流の笑いをとるための創意工夫
された噺の筋が記されています。
「感どころ」においてのポイントを紹介させて
いただくと、志ん生は文章においても感性を
重視、文楽は噺のディティールへのこだ
わり、円生は心理描写及び落語の歴史、
三木助は粋な落語の美学、金馬は己
の博識とあらゆる書物からの落語
に対する研究、小さんは芸に
対する真摯な姿勢、正蔵は
映像的に噺をとらえている、云々─。
現代の落語家の多くは、噺のルーツを調べ
ようともせず、無頓着な状態で落語
を語っています。
先人を知ることが、そして先人に対する尊敬
の念こそが伝統芸能を発展させる大きな
要因だとわたしは思っています。
わたしを含む現在最先端にいる落語家は
己の感性を信じて好き勝手に演出して
落語を演じているが、先人たちから
教えを請う姿勢がなければ伝統
芸能としての落語はやがて
滅んでしまうのではない
かという思いが、今回の「感どころ」を
読み進めていくうちに大きくなっていきました。
本書は落語の貴重な資料であると共に、現代
落語のバイブルになればよいと思っております。
昭和落語の最高峰、また師匠談志が一番憧れて
いた落語家。生の高座を見たことのないわたし
でも落語を聴き始めたきっかけに当然志ん生
師匠は入っています。わたしが一番最初に
好きになったのは三代目金馬師匠、
もちろん古い映像ですが─。
今でこそ落語界において昭和の最高峰は
志ん生師匠ですが、当時は文楽師匠への
ライバル心はあっても、自分のポジシ
ョンがそんなに高いところにある
とは当然思ってなく、実際、
評価だって今ほどではなかったと思います。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!