ソニーから東芝まで企業の決算書を、会計士が
読み込む! 数字の羅列から、記者会見からは
決して見えてこない企業の「裏の顔」
が明らかに。
粉飾、内紛、リストラ、資金繰りの悪化――。
会計士には、隠し事はできない。
⇒ ソニー:赤字決算にもかかわらず、なぜ多額
の法人税を納めているのか?
⇒ 大塚家具:トップの座を巡る父と娘の対立は、
実は日本型経営と米国型経営の対立だった
⇒ 日産:コストダウンでは絶対に削っては
いけない数字がある
⇒ キーエンス:企業内平均年収1600万円超。
「工場がない製造業」はなぜ儲かるのか?
⇒ スカイマーク:倒産する企業はまず決算書の
ここに赤信号がともる
⇒ 東芝:監査が見逃した「ソフトウェア開発の
数字」に、異常事態がはっきりと現れていた
本書を書きながら、筆者はソニーが今後どの
ような会社になるのかを想像した。
結局のところ、「本業は金融。エレクトロ
ニクスはサイドビジネスの会社」に変貌
してゆくしかないと思うに至った。
じつは、この15年間、ソニーでは、資金調達活動、
投資活動のいずれの面でも、金融事業にかける
資金量が非金融事業にかける資金量を
大きく上回っている。
会計士は見た。
コストカッター・ゴーン社長が絶対に削らなか
った数字に、日産浮上の秘訣があった。
キーエンスは製造業なのに工場がない。
商社やテレビ局をも上回る、高所得企業の
経営哲学を探る。
キーエンスは、ファブレス経営をしている。
ファブレスというのは、工場を持たないと
いうこと。
同社は、製品の開発、企画、設計を行うものの、
自社では製品製造のための生産設備を持たず、
製品は協力会社からの提供を受けて調達
するという形態をとっている。
キーエンスが扱っているのは、工場の生産
ラインに不可欠な自動化・省力化の
センサーや測定機器だ。
同社は、自動車、半導体、電子・電気機器から
薬品、食品に至るまで、あらゆる業態に対して
数百種類に及ぶ製品を企画、開発している。
キーエンスは創業以来、直販制度のもとで従業員
の半分以上が営業に従事している。
その営業職の人たちが売っているものは、
モノではなく「問題解決のアイデア」だ。
彼らは一般の営業職が行っているような
商品の納入や代金の回収は行わない。
その代わりに、各顧客の相談役になって、
製造現場の問題解決にあたっている。
たとえば工場に対しては、生産性の向上や
不良率の低減につながる提案をする、
といった具合だ。
そして必要な商品を自分で企画し、
外注先に製造委託をするのだ。
高水準の粗利益を支える「汎用品」。
ちなみに、異常とも言える利益率の高さの
裏には、こんな戦略も隠れている。
それは、キーエンスが顧客に対して提供している
のは、特注品ではなく、汎用品であるということ。
特定の注文に合わせて作る特注品は、やはり
どうしても高コストになる。
これに対して汎用品は、不特定多数のユーザー
向けに作られた商品であるため、低コスト
で作ることができる。
こうしてキーエンスは、たくさんの顧客の問題
解決の道具として、製造コストの安い汎用品に、
たっぷりマージンをつけて販売している。
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今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!