著者は明治大正昭和の時代をたくましく生きた
祖母と12歳までともに暮らしたが、後年、祖母
の生き方、その言葉を思い出すにつけ、戦後
日本人の女性が忘れてしまった「人として
の心得」「女性としてのあり方」が散り
ばめられていることを知った。
それこそが武家の女性の矜持そのもの、つま
り女子の武士道だったと気づいたのだった。
本書は53の祖母の言葉を挙げながら、女性とは、
妻とは、夫婦とはどうあるべきかを語っていく。
「夫を穢すことはおのれを穢すことですよ」
「子供には目に見えぬものを与えなされ」
「女子の」とタイトルにあるが、凛と
した女性がいてこそ立派な男、家庭、
そして社会があることを納得するだろう。
女性の品格を磨くための
深い知恵がここにある。
さらに言えば、女性から見て男子はこう
あるべきだと暗に諭される、男子に
もまた必読の一冊である。
日本は世界でもまれにみる2000年以上の歴史
を誇る国だ。私たちの祖先は幾多の困難を
乗り越えて、祖国を守り抜いてきた。
日本人特有の不屈の精神は、我が国の歴史と
伝統を重んじる心、この国を愛する心が
あったからこそ成り立っていたの
ではないでしょうか。
私の曽祖父は安政2年に米沢藩士の家に生ま
れ、多感な少年時代に幕末維新を経験した。
賊軍の汚名を着せられたことは少年の心に言葉
にならない悔しさと、それゆえの闘志を
もたらしたのだろう。
明治という新たな文明の世にありながら、
曽祖父は武士道を貫くことを決意したのだ。
そんな父のもと、明治22年に生まれた私の
祖母は、厳格な武家の娘としての躾を受けた。
祖母が私に教えた「人としての心得」「女性
としてのありかた」が、まさに武士道で
あったこと、武家の娘の矜持その
ものであったことを知ったの
は、20代も半ばになってからのこと。
その時、はっきりとわかった。祖母が逆境を
生き抜くことができたのは、いかなる艱難
辛苦にも平常心で臨むという勇猛果敢
な武士道が芯にあったからに
ほかならない。
強くなるほど穏やかになる。
静かなる武士道の世界に生きる。
本当に強い人間というものは穏やかなもの
だと、だんだんとわかってきた。
いかなる艱難辛苦にも勇猛果敢に挑み
乗り越える武士道は、一見、動的な
ものと受け止められる。けれど
その実、静的なものだ。
真に美しいものは、強さを
秘めているもの。
武家の女性や明治女には、かぎり
ない強さと美しさを感じる。
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!